20km「MP予定」が脚のしびれと暑さで相転移した。レディネス34とEvo SLで完走した「MPではない20km」の価値

20km「MP予定」が脚のしびれと暑さで相転移した。レディネス34とEvo SLで完走した「MPではない20km」の価値

2026年4月11日(土)。今日の20kmは、紙面上はMP走の予定だったが、実験としては「低レディネス+高温+脚のしびれ」を前提とした負荷配分の検証になった。痛みで止まる寸前ではなかった。だからこそ、ペースを落としてファートレックへ移行し、翌日の30kmに繋がる刺激だけを残して切り上げた。

📌 この記事の結論
  • レディネス34は「弱気」ではなく警告灯である——睡眠72・HRV表示80と並べても、今日の身体は序盤からMPを押し切る権利を持っていなかった。
  • 3km地点の痺れは、12〜13kmのペース崩壊を先取りしていた——CSV上の5:07/5:30/kmは、主観の「無理しない」と一致する。
  • 「MP失敗」というラベルは不適切である——平均4:35/km・平均心拍163bpm・最大186bpmの20kmは、サブ3設計上のMP(4:15/km)より遅いが、週110km運用の中では十分に重い刺激である。
  • Evo SLは今日の役割を果たした——レース板ではないが、脚感のフィードバックを取りながら距離を切らずに済ませた。
  • 次の30kmは「検証」より「監視」に寄せる——痺れ・脛の張りの再燃条件を数値で定義し、閾値を超えたら即座に損切りする。
エンティティ値(本記事での参照)
VO2max61
LTHR179 bpm
LT Pace3:57/km
MP(設計目安)4:15/km前後
本日平均ペース4:35/km
本日平均心拍163 bpm
本日のシューズADIZERO EVO SL
目次

📊 Condition:睡眠72・レディネス34・HRV80を三本柱で読む

項目数値
睡眠スコア72
トレーニングレディネス34
HRVステータス80(Garmin表示値)

睡眠72・レディネス34・HRV80を並べると何が言えるか。一言でいえば、睡眠と自律神経のストーリーが「悪くない側」に見えても、負荷耐性のストーリーは別画面で警告を点けている、という読み方が妥当だ。

レディネス34は、以前本番前の判断材料になった数値でもある(板橋マラソン2日前:レディネス34が示唆する「主観に騙されない」戦略的休養)。今日も同じ34が出ている以上、「快調にキロ4分台を刻む」前提は最初から捨てるべきだった。走る前から身体は重くないとは言えない前提でスタートしている。

🎯 Intention:20km MP実走で何を測るつもりだったか

意図は単純である。サブ3設計におけるMPを、Evo SLで20km持続させられるかを見る。気温と睡眠が許せば前半はキロ4分台前半も十分ありうる。シューズはレースのAdios Pro 4ではなくEvo SLとしたのは、週110kmのデイリー/LT中核としての脚感と、MP近傍での可制御性を優先した日でもある(モデル特性は【実走レビュー】ADIZERO EVO SL:サブ3ランナーが語る「一足で全ての練習を完結させるスーパーシューズの頂点」)。脛の張りは過去ログでも課題として扱ってきた部位であり(テーパリング期の戦略的休養:脛の張り解消とレディネス51からの回復)、今日はその延長線上で「張り+しびれ」の合成信号にどう反応するかも、暗黙の観測対象だった。

🏃 Data Result:平均4:35/kmだが、ラップは二層構造

項目数値
走行距離20.08 km
タイム1:32:05
平均ペース4:35 /km
平均心拍数163 bpm
最大心拍数186 bpm
平均ピッチ182 spm
平均ストライド1.18 m

1〜11kmはおおむね4:05〜4:24/kmで推移し、MP帯(4:15/km前後)を意識した走りになっている。12kmで5:07、13kmで5:30と落ち、以降も5:52などの遅いキロと4:07の速いキロが混在する。これは「失速したMP」というより、意図的な強弱の付け替えがラップに刻印された形状である。平均心拍163bpmに対し最大186bpmは、LTHR 179bpmに肉薄する区間があったことを示す。

🔬 Analysis:しびれ・暑さ・レディネス34が作った「MP以外の20km」

区間ラップ範囲ペースの特徴解釈
A1〜11 kmおおむね4:05〜4:24/kmMP意識で前に出した区間
B12〜20 km5:30〜4:07/kmの振れ幅大ファートレック移行後の探索走

3km付近からの「締め付け・痺れ・脛」は、データのどこに出るか

Fact:序盤の心拍は154〜172bpm程度で推移しているが、主観では3km前後から足の締め付け感に伴う痺れと脛の張りを認識していた。

Qualia:痛みで止まるほどではない。だが「このままMPを押すと、代償が翌日に滑る」予感はあった。

Analysis:痺れは原因が複数ありうるが、今日のN=1では切り分けより優先順位が先に来た。走破不能な痛みがないことと、30kmが翌日にあることの両立条件下では、強度より「連続性」を選ぶのは合理的である。

12〜13kmの遅いキロは、心拍が下がっている

Fact:12kmは平均心拍159bpm、13kmは150bpm。ペースは5:07、5:30/km。

Qualia:暑さで「前のようにスピード維持」ができない感覚と、脚の違和感が重なった。無理はしないと判断した。

Analysis:心拍が下がっているのは、代謝が追いつかないというより、速度を落とした結果として説明しやすい。ここが純粋な心肺限界というより、熱負荷と末梢の不快信号に合わせたコスト削減のラップである。

14km・16kmの4:07は「戻れた」のか

Fact:14kmと16kmは4:07/kmで、心拍は175bpm前後まで戻っている。

Qualia:完全に死んだ脚ではない。刺激はまだ入れられる。

Analysis:これはMP復帰の成功ではない。短いキロで脚の反応を確認しつつ、全体として20kmのボリュームを確保するためのピーク挿入に近い。ファートレックの定義として矛盾しない。

👟 Gear Choice:Evo SLは今日の契約を果たしたか

指定どおりADIZERO EVO SL。反発と軽さはMP近傍で武器になるが、今日のように接地のニュアンスが荒い日には、その分フィードバックも濃い。クッションと軽快さのトレードオフは、レディネス34の日に「快調さ」を期待しないほうがよい。

次回、同様の低レディネスで脚に違和感がある場合は、Adistar系やVomero系のリカバリー寄りモデルに寄せる判断もアリだが、今日の目的が「距離を切らずに刺激を残す」ならEvo SL選択は合理的だった。

🧭 Next Strategy:明日30kmに向けた監視条件

  • スタート前に痺れ・脛の張りを0〜10で採点し、どちらかが「昨日より悪化」なら当日プランをE寄りに書き換える。
  • 30km中は、キロ区間ごとにピッチと接地感をログ化し、前半で心拍が不釣り合いに跳ねたら即座に損切りする(「完走」より「翌週の週110km」を守る)。
  • 走後は冷感・腫脹・夜間痛の有無をチェックリスト化し、一つでも出たら翌日は火曜メニューをインターバルからリカバリーへ差し替える。
  • 今日の平均心拍163bpmは「余裕」ではない。平均の低さは遅いキロの比率の反映でもあるため、30kmでは心拍ドリフトを主指標にする。

❓ FAQ

MP走中に痺れを感じたら止めるべきか。

止めるべきは走れない痛みや、力が入らないなど危険信号に近いものだ。痛みではないが信号が強い場合は、ペースを落として距離を維持するか、距離を切るかは翌日以降のメニューとのトレードオフで決める。今日は後者を避け、前者を選んだ。

トレーニングレディネス34でも20kmは重すぎないか。

重い。だが今日の平均ペースと心拍は、MP定義のまま20kmを刻むより実効強度は下がっている。問題は絶対負荷より、翌日30kmへの神経・筋膜の残り方である。

なぜEvo SLでMPを試したのか。

週110kmの運用では、レース板を履く回数を絞り、デイリー中核でMP近傍の感覚を取る日がある。今日はその設計思想に沿っている。

📊 Appendix:全ラップデータ

スクロールできます
ラップタイム累積距離(km)ペースGAP心拍心拍max上昇(m)下降(m)パワー(W)W/kgパワーmax最大W/kgピッチ接地(ms)GCT歩幅(m)上下動(cm)上下動比(%)最高ペース最高ピッチ
14:10.34:10.31.004:104:061541641013335.793946.851832171.289.07.03:55188
24:05.58:15.71.004:054:081651706103315.764477.771862131.319.06.93:48190
34:06.612:221.004:074:06171173013265.673456.001862121.319.06.83:56193
44:09.716:321.004:104:08172175223245.633435.971892111.288.76.84:01194
54:07.620:401.004:084:13158175123075.343726.471852121.298.86.83:34192
64:14.824:541.004:154:15167170103055.303235.621872161.258.87.04:05190
74:24.129:191.004:244:28163176122915.063596.241842211.228.87.23:51192
84:13.133:321.004:134:12176179233085.363516.101872141.288.96.93:54192
94:17.237:491.004:174:18175182203065.323556.171862191.248.87.14:10189
104:21.642:101.004:224:23173185103045.293756.521822181.248.87.13:59190
114:20.446:311.004:204:23178186133085.363566.191822181.258.97.14:02190
125:06.751:381.005:075:13159177202674.643305.741792361.068.37.94:18188
135:30.157:081.005:305:32150160022494.332915.061822430.998.28.24:49187
144:07.41:01:151.004:074:06175184203445.984016.971872121.298.86.83:44192
155:52.51:07:081.005:525:55154184112374.123516.101792510.948.18.74:00184
164:07.21:11:151.004:074:11165184133235.623876.731822121.308.96.83:44192
175:211:16:361.005:215:27162183302464.283115.411782451.028.48.34:04186
185:11.61:21:471.005:125:17156171122534.403716.451742401.078.58.13:45189
195:07.01:26:541.005:075:26149160472574.473125.431692411.088.78.14:44183
204:46.61:31:411.004:474:52158175372754.783516.101792331.148.87.74:08186
210:23.71:32:050.084:454:44174177002844.943325.771812301.198.97.74:08184
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この記事を書いた人

RuncersLAB運営。フルマラソンでの目標達成に向けて、論理的かつ科学的なアプローチでトレーニングに励む市民ランナー。 現在は「週110km」の走行をベースに、Vo2MAX61を基準とした独自のメニューを追求中。自身の体験とデータに基づき、42.195kmを「使い切る」ための戦略やギアレビューを発信しています。

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