「同じ靴で、8か月後に1分15秒速くなった。標高71mのコースで、心拍は+2bpmしか上がっていない」——これが、MetaSpeed Edge Tokyoを96km履き、東京レガシーハーフを1:25:54で走ったあとの結論だ。
VO2max 61、LT Pace 3:57/km、週135〜148kmでサブ3を目指す33歳ランナーとして、Edge Tokyoは初めて買ったカーボンプレート入りシューズである。初回レビューは、平坦コースのハーフTT(1:27:09)と走行約50km時点のデータで書いた。今回は2026年10月18日の東京レガシーハーフという公式レースのデータで、その評価を更新する。比べるのは靴を替えた走りではない。同じ一足で走ったハーフ2本の差だ。
- ハーフ本番の一足はEdge Tokyoで確定——平坦TT 1:27:09(4:08/km)から、獲得標高+71mの東京レガシーハーフで1:25:54(4:02/km)。同じ靴で1分15秒縮めた
- 2〜14kmは心拍174bpmで3:56/km——TT全体(172bpm・4:08/km)と比べ、+2bpmで12秒/km速い。LTHR 179bpmの手前で、LT Paceより速いペースが13km続いた
- 96km時点でも、反発が落ちた兆候はデータに出ていない——平均接地時間はTTの221msから210msへ11ms短くなった。後半の失速は上下動8.8cmが変わっておらず、ジェル後の胃もたれと時間が一致する
- 内側広筋・踵の痛みは2本ともゼロ——Adios Pro 4ではフル2回とも20〜25kmで内側広筋が張った。反発の強いEdge Tokyoでは、21kmで一度も出ていない
- フル本番の有力候補に浮上した——ハーフ2本の痛みゼロは、42kmでも痛まない保証にはならない。まだ決めてはいないが、次の30km走の結果次第でかなり有力な候補になる

📊 Specification:MetaSpeed Edge Tokyoの基本スペック
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 発売 | 2025年(METASPEED TOKYOシリーズ) |
| 定価 | 29,700円(税込) |
| 重量 | 実測148g(26.0cm・片足) |
| ドロップ | 5mm |
| スタック高 | 踵 約39.5mm/前足部 約34.5mm |
| ミッドソール | 上層 FF LEAP/下層 FF TURBO PLUS(二層構造) |
| プレート | カーボン(前足部寄りの配置) |
| 想定ランナー | ピッチ型(歩幅より回転数で速くなる走り方) |
| 私の走行距離 | 96km(ハーフTT・東京レガシーハーフ・ポイント練習) |
最大の特徴は、柔らかいFF LEAPが体重で潰れ、前足部から前へ押し出される反発だ。ASICSはEdgeをピッチ型向けとしている。私の平均ピッチはTTで187spm、レガシーハーフで188spm。メーカーが想定する走り方の側にいる。

👟 First Impression:恐怖だった反発が、予測できる刺激に変わった
初めて履いた日の感覚は今も覚えている。トランポリンに乗ったような反発で、まともに立っていられないと感じた。Adios Pro 4よりプレートが硬く、一歩ごとに前へ放り出される。外部のレビューでも「4:30/kmより遅いと扱いにくい」「ペースを抑えにくくなった」という指摘が多い。LT Pace 3:57/kmの私にとっても、この警告は当たっていた。
96km履いた今、恐怖は「慣れ」で消えたわけではない。どのペースで何が起きるか予測できるようになった。スタートの混雑で1km目が4:33になっても、2km目には反発がペースを作り始める。この流れはTTでも同じだった。
🏁 Race Validation:同じ靴でハーフ2本——TT 1:27:09とレガシー1:25:54
| 指標 | ハーフTT(2026/1/31) | 東京レガシーハーフ(2026/10/18) | 差 |
|---|---|---|---|
| タイム | 1:27:09 | 1:25:54(ネット) | −1:15 |
| 平均ペース | 4:08/km | 4:02/km | −6秒/km |
| 平均心拍 | 172bpm | 174bpm | +2bpm |
| 平均パワー | 328W(5.70W/kg) | 335W(5.78W/kg) | +7W |
| ピッチ | 187spm | 188spm | +1 |
| 接地時間 | 221ms | 210ms | −11ms |
| 歩幅 | 1.29m | 1.30m | +0.01m |
| 上下動 | 8.9cm | 8.8cm | −0.1cm |
| 獲得標高 | +4m | +71m | +67m |
| 靴の累計距離 | 約50km時点 | 96km時点 | — |
同じEdge Tokyoで、条件の悪いコースを6秒/km速く走った。心拍は2bpmしか上がっていない。ピッチ・歩幅・上下動はほとんど同じだ。大きく変わったのは接地時間だけで、221msから210msへ11ms短くなった。
ただし、この差をすべて靴の手柄にはできない。TTからの8か月で、週間距離は110kmから135〜148kmへ増え、走力も上がっている。靴は同じなので、タイム差の大半は走力の差だ。それでも1つ言えることがある。50km時点より96km時点の方が接地は短く、出力は高い。累計距離が倍近くになっても、反発の劣化が走りの数値に現れていない。
2〜14km:抑えたつもりで3:56/kmが出た
作戦は4:08〜4:10/kmで、後半の坂に脚を残すことだった。実際は10km通過が39:58。2〜14kmの平均は3:56/km、心拍174bpm、パワー342Wだった。LTHR 179bpmに届かない心拍で、LT Pace 3:57/kmより速いペースが13km続いたことになる。走っている間は「めちゃくちゃ調子がいい」「このまま行ける」と感じていた。外部レビューが言う「ペースを抑えにくい」は、裏を返せば抑えているつもりでも、閾値付近のペースが勝手に出るということだ。ハーフでは、これが武器になる。
15〜21km:14秒/km落ちたが、靴のせいではない
15km以降は4:06〜4:17/km。坂の影響を補正したペース(GAP)で見ても、約10秒/km遅くなっている。区間で比べると、ピッチは189.5→186.3spm、接地は206→215ms、歩幅は1.33→1.28m。一方、上下動は8.7〜8.9cmでほとんど変わらない。脚のバネが切れたなら、上下動にも変化が出やすい。パワーは4.4%下がったのに心拍は179〜181bpmに張り付いた。10km過ぎにMaurtenを摂り、12〜13kmから胃もたれが始まった時間帯と一致する。ラップごとの分析はレース当日のDaily Logに残してある。
標高71m:外部の「不安定」という指摘と、私の21km
RTINGSは「柔らかい土台と細いヒールは、疲れてくるとコントロールしにくい」と評価している。レガシーハーフは後半に登りがある。19km目は+14mの登りで4:17/kmまで落ちたが、踵にも内側広筋にも痛みは出なかった。疲れた状態での不安定さは、私の21kmでは問題にならなかった。30km以降どうなるかは、まだ分からない。
🏃 LT走での実走感:3:57/km付近で反発が負荷を肩代わりする
私のLT Paceは3:57/km、LTHRは179bpmだ(閾値を基準にした強度設定で運用している)。このペース帯でEdge Tokyoを履くと、同じペースでも楽に感じる。レガシーハーフの2〜14kmで、LTより速いペースを閾値未満の心拍で保てたことが、その体感を数字で裏付けた。閾値付近を長く引っ張るハーフに、最も合う一足だと考えている。
Adios Pro 4との比較:反発は上、なのに内側広筋は張らない
反発と推進力はEdge Tokyoの方が上だ。Pro 4の反発はマイルドで、自然に脚を運べる。それでも、Pro 4では横浜と湘南国際のフル2回とも、20〜25kmで右脚の内側広筋が張った。Edge Tokyoはハーフ2本で一度も張っていない。反発が強いほど脚を痛める、という単純な話ではない。ただ、距離が21kmと42kmで違う以上、比較はここで止めておく。今のPro 4は、本番を想定したロング走や絶対に外せないポイント練習で履く練習用のプレートシューズだ。プレートの感覚に脚を慣らしておく役割も兼ねている。
Hyper Warp Pureとの比較:引き上げる靴と、出し切る靴
板橋Cityマラソン(3:18:44)で履いたHyper Warp Pureは、実測139gで「走らされない」靴だ。自分のペースを守りやすく、42kmで内側広筋の張りはゼロだった。代わりに足裏が痛んだ。Edge Tokyoは逆で、ペースを勝手に引き上げる。PBを狙うハーフならEdge Tokyo、設定ペースを守り切りたいフルならPure——この分け方は、レガシーハーフを走っても変わらなかった。
- ハーフ・10kmのレース、閾値付近のTT:MetaSpeed Edge Tokyo
- 設定ペースを守り切るフル:Hyper Warp Pure
- 本番想定のロング走・外せないポイント練習・プレートへの慣れ:Adios Pro 4
- 20km E走・ロング走:Superblast 3
⏱️ Durability:96kmのソールと、数値に出ない劣化
累計96kmの内訳は、ハーフ本番2本で約42km、残りはレース前の準備走とポイント練習だ。普段の練習には使わず、レース専用に近い形で運用してきた。初回レビューの時点では約50kmだった。そこから倍近く履いても、接地時間とパワーの数値はむしろ良くなっている。少なくとも100km手前では、反発の劣化がレースの数値に表れていない。
ただ、FF LEAPは柔らかい素材だ。外部レビューでも耐久性の低さが指摘されている。数値に出る前に「感覚」が変わる可能性は頭に入れておく。私は本番で使う靴を100km前後までと決めている。96kmのEdge Tokyoは、その境目にいる。

⚖️ Comparison:他モデルとの徹底比較
実際にレースで履いた3足を、実走データと感覚の両面から比べる。
| MetaSpeed Edge Tokyo | Adios Pro 4 | Hyper Warp Pure | |
|---|---|---|---|
| 重量(26cm実測) | 148g | 192g | 139g |
| ドロップ | 5mm | 6.5mm | 3mm |
| プレート | カーボン(前足部寄り) | ENERGYRODS 2.0 | 100%カーボン・フルレングス |
| 推進力 | 最も強い(引き上げられる) | 強い(転がされる) | 中立(走らされない) |
| クッション性 | 柔らかい・21kmで問題なし | 厚い・足裏は無傷 | 薄い・42kmで足裏に痛み |
| 内側広筋の張り | ハーフ2本でゼロ | フル2回とも20〜25kmで発生 | フルでゼロ |
| 私のレース実績 | ハーフ1:27:09/1:25:54 | フル3:34:12(湘南国際) | フル3:18:44(板橋City) |
| 用途 | ハーフ・10kmの本番 | 練習用プレートシューズ(本番想定のロング走・ポイント練習) | ペースを守り切るフル |
| Edge Tokyoとの比較 | — | 反発はTokyoが上。Pro 4は自然な脚運び | Tokyoは引き上げる、Pureは出し切る |
| 価格 | 29,700円 | 28,600円 | 35,200円 |
| 購入 | 購入する | 購入する | 購入する |
フルの候補として:30km走が分岐点になる
レガシーハーフには、もう1つの目的があった。反発の強いカーボンシューズを今の脚で履いたとき、内側広筋が張るかを確かめることだ。Pro 4とPureの42km比較では、張りの原因が靴なのか走力なのかを切り分けられなかった。結果、Edge Tokyoでは21kmで張りは出なかった。「反発の強い靴=内側広筋が張る」という仮説は、21kmでは否定された。ただ、Pro 4で張ったのは20〜25km地点だ。21kmで止まるハーフでは、その手前でゴールしている可能性を消せない。
だから次は30km走で確かめる。Pro 4で張りが出た20〜25km地点を越えても、内側広筋が静かなままか。ペースが勝手に上がる性格を、30kmまで抑え込めるか。この2つをクリアすれば、Edge Tokyoはフル本番のかなり有力な候補になる。まだ決めてはいない。決めるのは30km走のデータだ。
💪 Pros & Cons:メリット・デメリットの徹底分析
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ハーフ2本でPB 閾値付近のペースが楽になる ピッチ型の走りと一致 内側広筋・踵の痛みゼロ 実測148g(26cm) 96kmでも数値に劣化なし | ペースを抑えにくい。42kmでの適性は未検証。29,700円で値下げが少ない。冬は通気性が良すぎて足が冷える。 |
メリット
デメリット・気になる点
気に入っている一足だが、弱点はある。まず、ペースを抑えにくい。レガシーハーフでは4:08/kmで入るつもりが3:56/kmになった。ハーフでは結果的に良い方へ転んだが、フルで同じことが起きれば後半に響く。次に、42kmでどうなるかを私はまだ知らない。そして、定価29,700円で値下げが少ない。冬のレースでは、通気性が良すぎて足先が冷える。
🎯 Recommendation:誰におすすめ?誰にはおすすめしない?
4分/km前後でハーフのPBを狙うランナーには、最初に試してほしい一足だ。特に、ピッチが180spm以上で、歩幅より回転数で速くなるタイプに合う。アップダウンのあるコースでも、21kmなら問題なく走れた。
4:30/kmより遅いペースで走る人、フルの設定ペースを守り切りたい人にはおすすめしない
柔らかいFF LEAPは、遅いペースだと潰れ方が合わず、外部レビューの指摘どおり扱いにくくなる。また、勝手にペースが上がる性格は、フルの前半では裏目に出やすい。設定ペースを守り切りたいなら、Hyper Warp Pureのような「走らされない」靴の方が向いている。
📏 Fitting:サイズ選びとフィッティングの注意点
私は26.0cmを履いている。96km、ハーフ2本を走って、サイズやフィットで困ったことはない。注意したいのは試着の仕方だ。立って履いただけでは、この靴の性格は分からない。店で試すなら、トレッドミルでもよいので、LT〜レースペースで数百メートル走ってみてほしい。
❓ FAQ:よくある質問
- MetaSpeed Edge Tokyoはハーフマラソン本番に向いているか?
-
向いている。私は同じ一足で、平坦なハーフTTを1:27:09(4:08/km)、獲得標高+71mの東京レガシーハーフを1:25:54(4:02/km)で走った。2〜14kmは心拍174bpmで3:56/kmと、LTHR 179bpm未満でLT Paceより速いペースを保てた。
- 96km履いたEdge Tokyoで、反発は落ちているか?
-
レースの数値には表れていない。約50km時点のTTと比べ、96km時点のレガシーハーフは接地時間が221msから210msへ11ms短く、平均パワーは328Wから335Wへ上がった。走力の向上も含まれるが、劣化の兆候は見えない。本番使用は100km前後までを目安にしている。
- レース後半に14秒/km落ちたのは、靴の限界か?
-
データ上は違う。15〜21kmで上下動は8.8cmのまま変わらず、悪化したのは接地時間(206→215ms)と歩幅(1.33→1.28m)だった。パワーが4.4%落ちたのに心拍は179〜181bpmに張り付き、10km過ぎのジェル後に起きた胃もたれと時間が一致する。
- Adios Pro 4とEdge Tokyo、ハーフならどちらを選ぶべきか?
-
ハーフならEdge Tokyo。26cm実測で148gとPro 4(192g)より44g軽く、反発も強い。私はPro 4でフル2回とも20〜25kmで内側広筋が張ったが、Edge Tokyoではハーフ2本で一度も張っていない。Pro 4は本番想定のロング走や外せないポイント練習で履く、練習用のプレートシューズという位置づけだ。
- フルマラソンでEdge Tokyoを履くか?
-
まだ決めていない。ハーフ2本で内側広筋の張りはゼロだったが、Pro 4で張ったのは20〜25km地点で、21kmではその手前でゴールしている可能性がある。ペースが勝手に上がる性格も、フル前半では裏目に出やすい。次の30km走で20〜25km地点を越えても張りが出ず、ペースを抑え込めれば、フル本番のかなり有力な候補になる。
- サイズ感はどうか?
-
私は26.0cmで、96km・ハーフ2本を走ってフィットの問題は出ていない。性格は走らないと分からないので、試着はLT〜レースペースで数百メートル走って確かめることを勧める。
📝 Conclusion:ハーフの答えは出た。フルの問いは残った
MetaSpeed Edge Tokyoは、私のハーフ本番の一足として確定した。同じ靴で、条件の悪いコースを1分15秒速く走り、96km履いても数値は落ちていない。後半を削ったのは靴ではなく胃だった。
初回レビューでは「使いこなせているとは言えない」と書いた。その評価は半分だけ更新する。閾値付近で21kmを押し切る道具としては、使えている。42kmで反発を最後まで扱えるかは、まだ答えを持っていない。ハーフで出た答えと、フルで残った問い。次の30km走が、その問いへの最初の実験になる。結果次第で、この一足はハーフ用からフル本番の有力候補へ変わる。



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