「距離を楽しく刻むのはSB3、強度を上げるのはEdge」——これが、Superblast 3を526km、ハイパーブーストエッジを109km走った私の現在地だ。かつては「1足ならSB3」と即答していた。109kmを走った今、その答えは揺らいでいる。
週135〜148km、サブ3を目指す33歳ランナーとして、この2足はどちらもノンプレートのスーパートレーナーである。スタック高は45mmと46.5mm、重量差は26.0cm実測で16g。カテゴリ上は完全な競合だ。だがラボの数値と足の答えが逆を向いた。エネルギーリターンはEdgeが上(73.6% vs 67.8%)なのに、走っていて楽しいのはSB3。一方で、安定感・スピードの出しやすさ・反発のレスポンスはEdgeが上回る。この緊張関係を、実走ログと夏の湘南の気温で分解する。
- 「1足ならSB3」とは言い切れなくなった——楽しさと通気性ならSB3、安定感と反発のレスポンスならEdge。決め手は自分の練習の重心がどちらにあるかだ
- 反発の質は「トランポリン」と「押し出し」——一度沈み込んでから返るのがSB3、大きく押し出されるように返るのがEdge。高揚感はSB3、レスポンスはEdge
- 2足持つなら「長さ」と「速さ」で割る——30km級のロング走はSB3、MP走・クルーズインターバル・IVはEdge。SB3でインターバルをやりたいとは思わない
- Edgeの通気性は夏に致命的——30℃台の湘南では走り終わりに靴の中が蒸し風呂になる。SB3にこの問題はない
- Edgeの右踵は109kmで「痛み消失・収まりの悪さ残存」——80kmで出た痛みは紐の締め方で解消した。ただし踵の収まりの悪さ自体は残っている
📊 Specification:厚いほうが軽いという逆転
| 項目 | ハイパーブーストエッジ | Superblast 3 |
|---|---|---|
| 定価(税込) | ¥24,200 | ¥26,400 |
| 公称重量(27.0cm) | 255g | 約239g |
| 実測重量(26.0cm・手持ち) | 230g | 214g |
| ヒールスタック | 45mm | 46.5mm |
| 前足部スタック | 39mm | 38.5mm |
| ドロップ | 6mm | 8mm |
| ミッドソール | HYPERBOOST PRO(PEBA系ビーズ発泡・単層) | FF LEAP + FF BLAST+(2層) |
| プレート | なし | なし |
| アッパー | PRIMEWEAVE(非伸縮ウーブン) | エンジニアードウーブン |
| アウトソール | LIGHTTRAXION(フルレングス) | ASICSGRIP系 |
| エネルギーリターン(RunRepeatラボ) | 73.6% | 67.8% |
| 私の走行距離(2026/9/12時点) | 109km | 526km(2足目を買い足し・26km走行済み) |
スペック表で最初に目を引くのは重量だ。SB3のほうが1.5mm厚いのに、26.0cm実測で16g軽い。214gと230g。手に取った瞬間に差が分かる水準の開きである。45mm級のスタックを積んだ靴で16gは、ミッドソール素材の密度差がそのまま出た数字だ。EdgeのHYPERBOOST PROはビーズ発泡の単層、SB3はFF LEAPを主体に10mmのFF BLAST+を下層に敷いた2層構造。同じ「ノンプレート・超厚底」でも、素材の設計思想が違う。
もうひとつの逆転がエネルギーリターンだ。RunRepeatのラボ計測ではEdgeが73.6%、SB3が67.8%。数値上はEdgeが5.8ポイント上回る。ノンプレートのスーパートレーナーとしてEdgeの73.6%はほぼ最高水準であり、これは疑う余地のない実験値だ。だが後述するとおり、私の足が「楽しい」と判断したのはSB3だった。ラボの反発量と、走っていて気持ちがいい反発は、別の指標である。

ドロップは6mmと8mmで2mmの差があるが、履き比べて体感できるものではなかった。SB3のほうが「走らされている」感覚が強いということもない。ただしEdgeの安定感が明確に高い理由の一部は、この低いドロップと前足部39mmという厚みにあるのかもしれない。SB3単体の評価は700km走ったSuperblast 3のレビューにまとめている。
🏀 Bounce:トランポリンと消しゴム
| 観点 | Superblast 3 | ハイパーブーストエッジ |
|---|---|---|
| 比喩 | トランポリン | 押し出し(消しゴム) |
| 反発が返るタイミング | 沈み込んだ後 | 踏んだ瞬間、大きく前へ |
| 沈み込み量 | 深い | 浅い(やや硬め) |
| 接地の安定感 | 中 | 高い |
| 反発のレスポンス | 中(溜めがある) | 高い(即応) |
| 走っていて楽しいか | めちゃくちゃ楽しい | 楽しさより実務的 |
| ラボのエネルギーリターン | 67.8% | 73.6% |
この2足を分ける最大の軸は、反発の「量」ではなく「返り方」だ。一度沈み込んでから跳ね返るのがSB3、踏んだ瞬間に大きく押し出されるのがEdge。トランポリンと押し出し——推進力の作られ方が根本的に違う。Edgeは地面を踏んだ力がそのまま前方向の推進に変換される感覚で、SB3は厚みを使い切って沈み、その底から解放される。
海外レビューの一部は、この関係を逆に書いている。「Edge=トランポリン的な深い沈み込み、SB3=カチッとした芯」という整理だ。実際に両方を同じEペースで履き替えた足の答えは真逆だった。柔らかく深いのはSB3で、Edgeは少し硬めに感じる。SB3は厚みを使い切って沈み、その底から押し戻される。Edgeは沈み込む前に反発が来る。
ここで冒頭の逆説に戻る。ラボのエネルギーリターンはEdgeが5.8ポイント高い。それでも走っていて楽しいのはSB3だ。おそらく「楽しさ」は反発量ではなく、沈み込みから解放されるまでの時間差が生む。消しゴムは効率よく返すが、返るまでの溜めがない。トランポリンは一度沈む分だけロスがあるが、その沈み込みが解放される瞬間に高揚感が乗る。データが示す効率と、身体が感じる快感は、この2足において一致していない。
Edge側の代償ではなく美点として挙げるべきなのは、接地の安定感だ。45mmという規格外のスタックを高ピッチで回しても横ブレが出ない。8月26日のクルーズインターバル1本目、ピッチ186spm・歩幅1.39mで3:50/kmまで踏み込んでも、足元は破綻しなかった。Edgeの「消しゴム」的な硬さは、この安定感と同じ根から来ている。
🏃 Usage:練習メニュー別の使い分け
| メニュー(設定ペース) | 第一選択 | 理由 |
|---|---|---|
| リカバリージョグ(5:30〜6:15/km) | どちらも不採用 | 反発が強度管理の邪魔になる。Gel Nimbus 28の領域 |
| Eランニング 20km(4:50〜5:15/km) | どちらでも可 | 2足とも成立する。夏はSB3が有利(通気性) |
| クルーズインターバル 2km×4本(3:55〜4:00/km) | Edge | 反発の立ち上がりが速い。踏んだ瞬間に返る |
| MP走 20km(4:10/km) | どちらでも可 | 気分で選ぶ。速度重視ならEdge |
| ロング走 30km(5:00/km前後) | SB3 | 走っていて楽しい。距離を楽に刻める |
| BU走・調整走 | SB3寄り(Edgeも可) | 実運用ではどちらも成立 |
この表の要点は1行に集約できる。より速いスピードで走るならEdge、より長い距離を確実にこなすならSB3。リカバリー以外はどちらも同じ用途で使えるという前提の上で、境界線はこの1本だけだ。付け加えるなら、インターバル系のメニューをSB3でやりたいとは思わない。反発の質が違うからだ。沈み込みの溜めは、速い反復では邪魔になる。SB3はあくまでロング走用——それが526kmを走った上での役割認識である。
ここで注意したいのは、Edgeが「インターバル向き」ではないという点だ。400m×15本のような短い反復にはEVO SLを使う。Edgeが合うのは、2km×4本にレストを挟んで合計14〜16kmになるようなクルーズインターバル、つまり「速いロング走」の側である。厚みと安定を借りながら閾値付近を反復する——この条件でEdgeの消しゴム的な反発が最も機能する。
逆に30km級のロング走はSB3だ。理由は性能差ではなく、走っていて楽しいことである。私のトレーニングは全ランニングを朝食前の空腹時に実施し、日曜は30〜35kmを踏む。この距離を毎週繰り返すうえで「楽しい」は快適さの装飾ではなく、継続の条件になる。
📈 Evidence:実走ログが描いた2足の輪郭
| 日付 | シューズ | 距離 | 平均ペース | 平均心拍 | ピッチ | 歩幅 | 気温 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8/6 | Edge(初走) | 10.11km | 5:08/km | 145bpm | 174spm | 1.11m | 26.5℃ |
| 8/13 | Edge | 20.02km | 4:40/km | 153bpm | 180spm | 1.17m | 28.5℃ |
| 8/26 | Edge(2km×4本) | 12.00km | 4:41/km | 155bpm | 170spm | 1.22m | 30.7℃ |
| 8/29 | Edge(BU10km) | 10.02km | 4:34/km | 154bpm | 179spm | 1.21m | — |
| 5/24 | SB3 | 30.01km | 5:01/km | 157bpm | 178spm | 1.10m | — |
| 5/31 | SB3 | 21.46km | 4:57/km | 152bpm | 179spm | 1.11m | — |
| 9/12 | SB3(BU10km) | 10.02km | 4:20/km | 151bpm | 182spm | 1.25m | 25〜28℃ |
歩幅で速度を作るEdge、ピッチを保つSB3
8月13日のEdgeと5月31日のSB3を並べると、興味深い一致と差が出る。距離はほぼ20km台、ピッチは180spmと179spmでほぼ同一。だが歩幅は1.17mと1.11mで6cm開き、ペースは4:40/kmと4:57/kmで17秒/kmの差がついた。速度差を作ったのは回転数ではなく1歩の距離である。
ただしこれを「Edgeが歩幅を伸ばす靴だ」と結論するのは早い。8月は28.5℃、5月は初夏であり、季節と疲労度が違う。パワーもEdge側が293W(5.10 W/kg)、SB3側が270W(4.70 W/kg)と、速度差に対応する出力差が出ている。同一条件での対照実験ではない——ここは正直に限界を書く。
同型メニューの対照:8/29のEdge BUと9/12のSB3 BU
| 項目 | 8/29 Edge | 9/12 SB3 |
|---|---|---|
| メニュー | BU10km | BU10km |
| ペース推移 | 5:00→4:09/km | 4:43→3:54/km |
| 平均ペース | 4:34/km | 4:20/km |
| 平均心拍/最大 | 154/179bpm | 151/176bpm |
| 平均ピッチ | 179spm | 182spm |
| 平均歩幅 | 1.21m | 1.25m |
| 累積上昇 | 146m | 10m |
| 条件 | 真夏・アップダウン | 初秋25〜28℃・平坦・レディネス16 |
偶然だが、2週間差で同型のビルドアップ10kmを2足で走ることになった。数字の上ではSB3の日が14秒/km速く、心拍は3bpm低い。だがこの差をシューズの優劣として読むべきではない。Edgeの日は累積上昇146mのアップダウンで真夏、SB3の日は上昇10mの平坦で初秋。条件差がペース差を十分に説明してしまう。
それでも、この2本を走り比べて残った体感がある。ビルドアップの「上げていく」局面でのレスポンスはEdgeが鋭い。踏み増した力が即座に前への推進に変わる。SB3は一度沈む分だけ加速の立ち上がりにワンテンポの溜めがあり、その代わり巡航に入ってからのリズムが心地よい。どちらもBUは成立する。ただ、上げ下げの応答性で選ぶならEdge、巡航の快感で選ぶならSB3——2本の同型メニューが、この輪郭をはっきりさせた。
8月13日:想定5:00/kmが4:40/kmになった20km
Edgeで最も印象的だったのが、この日だ。5:00/kmで刻むつもりで走り出し、平均4:40/kmで終わった。20秒/kmの誤差ではなく、設計の外である。最初から押されている感覚があり、脚が軽く、地面からの反発をそのまま受け取っていた。平均心拍153bpmはLTHR(179bpm)の86%——破綻はしていない。全ラップは8月13日のDaily Logに残した。
正直に補足すると、これはEdge固有の現象ではない可能性が高い。この系統のスーパートレーナーを履けば、SB3でも同じことが起きただろうと思う。「Edgeだから速くなった」ではなく「45mm級の反発を履くと設定ペースが上書きされる」——そう読むのが妥当だ。ただし、その体験をEdgeで得たのは事実である。
8月26日:クルーズインターバルでEdgeは正しかった
2km×4本のクルーズインターバルを、3:50→3:56→4:10→4:16/kmで走った。設定は3:55〜4:00/kmだったので、1本目は突っ込みすぎ、3・4本目はLT Pace(3:57/km)を下回った。トレーニングとしては失敗である。だが失敗の主因は気温30.7℃と冬基準のペース設計であり、シューズ選択は間違っていなかった。EVO SLの爆発力ではなく厚みと安定を借りる判断は、4本を走り切れたことで裏付けられた。詳細は8月26日のDaily Logにある。
8月29日:2本連続20kmでも反発は切れなかった
BU10km(5:00→4:09/km)とEペース10km(平均4:58/km)を、同じEdgeで連続して走った。合計20.03km、加重平均4:46/km。1本目と2本目で接地感と反発感は変わらなかった。80km時点でミッドソールのへたりは感じない。BU走のラスト1kmは心拍176bpm——LTHR 179bpmの直下まで上げても、足元は安定していた。ログは8月29日のDaily Logに記録している。
ただし、この日に別の問題が出た。それは反発ではなく、踵である。後述する。
🌡️ Ventilation:夏の湘南で最も差がついた項目
スペックにもラボ計測にも出ないが、この2足を選び分ける決定的な差が通気性だ。Edgeは走り終わりに靴の中が蒸し風呂になる。30℃台の湘南を20km走れば、内部はびちょびちょになり、抜けていく感覚がない。8月13日、25日、26日、29日——気温26.5〜30.7℃の全ての走行で同じだった。
原因はアッパーのPRIMEWEAVEにある。非伸縮のウーブン素材でフィット感と保持力は高いが、空気が通らない。SB3のエンジニアードウーブンでは、同条件でここまでの蒸れを感じたことがない。
通気性の悪さは性能値ではないが、走行後の不快感として毎回残る。「通気性のいいシューズと悪いシューズ」という分類が成立してしまう時点で、夏の常用としてEdgeは不利になる。
👟 Fitting:Edgeの右踵——痛みは消えた、収まりは残る
| 項目 | ハイパーブーストエッジ | Superblast 3 |
|---|---|---|
| サイズ(手持ち) | 26.0cm | 26.0cm |
| サイズ選び | 通常サイズでOK | 通常サイズでOK |
| 紐の構造 | 内側に折り込まれた特殊形状 | 標準 |
| 足と一体化するまで | 結び直しを要する。時間がかかる | すぐ決まる |
| ヒールカップ | 80kmで右踵に痛み → 紐の締め方で解消(109km時点)。収まりの悪さは残存 | 問題なし(526kmトラブルゼロ) |
| 前脛・アキレス腱 | 違和感なし | 違和感なし |
右踵の顛末——80kmで痛み、109kmで解消。ただし「収まり」は残る
40km時点でEdgeのヒールカップを「圧迫ゼロ」と評価していた。80kmを走った8月29日、右踵に違和感が出て、この評価を一度引き下げた。そして109kmを走った現在、痛みは消えている。解決策は紐の締め方だった。内側に折り込まれた特殊なシューレース構造に自分の締め方が定まってから、痛みは再発していない。
Edgeのヒールカップは、少し膨らんだパッド状の構造を持つ。Takumi Sen 11で左踵を腫らした構造と同型であり、購入時点で最も躊躇した箇所だった。試着では分からず、40kmでも分からず、80kmで出て、締め方の学習で収束する——この靴の踵は「距離と調整」の両方を要求する。そして正直に書くと、痛みが消えた今も、踵の収まりの悪さそのものは残っている。足を入れた瞬間にカチッと決まるSB3との差は、109km走っても埋まらなかった。
SB3は526km(2足目を含む)を走って、同種の問題は一度もない。踵にトラブル歴がある足にとって、この差は無視できない。Edge単体の40km時点の評価はハイパーブーストエッジの実走レビューにあるが、109kmの現在地はここに書いたとおりだ。
紐が内側に折り込まれている——一体化までの時間
もうひとつEdge固有の癖がある。シューレースの通し方が特殊で、紐が内側に折り込まれる構造になっている。普通のシューズと締め方の感覚が違うため、足と靴が一体化するまでに何度か結び直す必要がある。8月29日は結び直しをしなかったが、「合っていない」感覚は最後まで残った。数回履かないと自分の締め方が定まらない。SB3はこの手間がゼロだ。
⏱️ Durability:109kmと526kmの現在地——SB3は2足目を買い足した
Edgeは109km時点で、反発のへたりもアウトソールの摩耗も感じない。フルレングスのLIGHTTRAXIONラバーとビーズ構造のミッドソールは、スーパートレーナーとしては耐久寄りの設計だ。ただし109kmは判断に足る距離ではない。ここは未検証とする。
SB3は1足目で500kmを走った。前作Superblast 2では2足合計700kmを走り、クッションの劣化を感じ始めたのは350〜400km付近だった。SB3も400km超で反発の鈍りが出ている。そして——ここが重要だが——私はSB3の2足目を買い足した。すでに26kmを走っている。レビューでどう言葉を並べるより、同じ靴にもう一度¥26,400を払ったという事実が、この靴への評価を語っている。
比較の土俵が違う点は変わらない。Edgeは寿命の初期、SB3の1足目は後半を走った。Edgeが300kmを超えたときに、この章は書き直す必要がある。
⚖️ Comparison:他モデルを含めた横並び
| ハイパーブーストエッジ | Superblast 3 | ADIZERO EVO SL | NOVABLAST 6 | |
|---|---|---|---|---|
| 実測重量(26.0cm) | 230g | 214g | 約210g | — |
| スタック(踵/前足部) | 45mm/39mm | 46.5mm/38.5mm | 38.5mm/32mm | 41.5mm/33.5mm |
| ドロップ | 6mm | 8mm | 6.5mm | 8mm |
| 反発の質 | 消しゴム(踏んだ瞬間) | トランポリン(沈んでから) | ダイレクトで速い | 硬めで実践的 |
| 接地の安定感 | 最も高い | 中 | 中 | 高い |
| 通気性 | 悪い | 良好 | 良好 | 良好 |
| 主な用途 | MP走・クルーズIV | ロング走・万能 | インターバル・LT走 | Eペース・デイリー |
| Edgeとの関係 | — | 正面から競合。楽しさで負ける | 速度域で住み分け | 強度域で住み分け |
| 定価(税込) | ¥24,200 | ¥26,400 | ¥19,800 | ¥17,600 |
| 購入 | 購入する | 購入する | 購入する | 購入する |
EdgeとSB3は、この4足の中で唯一「正面から競合する」組み合わせだ。EVO SLは低スタックの速度域担当、NOVABLAST 6はEペース担当であり、役割が重ならない。だがEdgeとSB3は用途がほぼ全面的に重なる。だからこそ、選択の決め手が性能ではなく通気性と楽しさになった。ASICS内での立ち位置はSuperblast 3 vs NOVABLAST 6の比較で整理している。
💪 Pros & Cons:2足それぞれの損得
ハイパーブーストエッジ
| メリット | デメリット |
|---|---|
| エネルギーリターン73.6%——ノンプレート最高水準 接地の安定感が4足中で最も高い 踏んだ瞬間に返る「消しゴム」の反発 2本連続20kmでも反発が切れない SB3より¥2,200安い 109km時点で摩耗・へたりなし | 通気性が悪く夏は蒸し風呂になる。踵の収まりが悪い(80kmで痛み→紐の締め方で解消、収まりの悪さは残存)。紐の折り込み構造で一体化まで結び直しが必要。SB3より16g重い |
Superblast 3
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 沈み込みからの解放が生む圧倒的な高揚感 46.5mm厚で26.0cm実測214g——厚いのに軽い 30km級のロング走を楽に刻める 夏でも蒸れない通気性 526kmでヒールカップのトラブルゼロ 2足目を買い足すほどの信頼(リピート購入済み) | ¥26,400という価格。ラボのエネルギーリターンはEdgeに5.8ポイント劣る。400km超で反発の鈍りが出る。接地の安定感はEdgeに及ばない |
🎯 Recommendation:どちらを買うべきか
1足だけ買うなら——即答できなくなった
80km時点の私は「1足ならSB3」と即答していた。109kmを走った今、その答えは揺らいでいる。走る楽しさがSB3にあるのは間違いない。だが安定感、スピードの出しやすさ、反発のレスポンス——「速く走る道具」としての完成度はEdgeが上だ。無条件でSB3とは、もう言い切れない。
それでも判断基準は示せる。練習の重心が30km級のロング走と距離の積み上げにあるなら、SB3。夏に走る頻度が高い人も、蒸れないSB3だ。逆に、MP走・クルーズインターバル・ビルドアップといった「上げる練習」を厚底でこなしたいなら、Edgeの押し出しとレスポンスが応える。ただしEdgeには蒸れと踵の収まりの悪さという2つのマイナスが残る。スペックの優劣ではなく、自分の週間メニューのどこに主戦場があるか——それがこの2足の選び方だ。
2足持つなら——「長さ」と「速さ」で割る
Edgeを選ぶべき人・避けるべき人
Edgeが刺さるのは、柔らかい沈み込みが苦手で、接地の安定感を最優先する人だ。SB3のトランポリン感が「揺れる」と感じるタイプには、Edgeの硬めの反発が合う。閾値付近を厚底で反復したい人にも向く。
避けるべきは、夏に常用したい人と、踵にトラブル歴がある人だ。通気性は改善の余地がない構造的な弱点であり、ヒールカップの当たりは80km走るまで分からない。試着で判断できない項目が2つある靴だと理解しておくべきである。
❓ FAQ:購入前に迷う6つの論点
- 結局、ハイパーブーストエッジとSuperblast 3のどちらを買うべきですか?
-
練習の重心で決まる。30km級のロング走と距離の積み上げが中心ならSB3(楽しさと通気性)。MP走・ビルドアップ・クルーズインターバルなど「上げる練習」を厚底でこなしたいならEdge(安定感と反発のレスポンス)。エネルギーリターンはEdgeが73.6%と5.8ポイント上回るが、走っていて楽しいのはSB3——数値と快感は一致しない。私は両方をローテーションに入れ、長さはSB3、速さはEdgeで割っている。
- ハイパーブーストエッジはEペース走に向いていますか?
-
向いている。Eペース20kmもロング走も問題なくこなせる。ただし夏に限れば通気性が問題になる。気温26.5〜30.7℃での走行では毎回、走り終わりに靴の中が蒸し風呂になった。涼しい季節のEペース走なら第一選択に入る。
- EdgeでEペースが勝手に速くなるのは本当ですか?
-
8月13日、5:00/km想定の20kmが平均4:40/kmになった。最初から押されている感覚があり、平均心拍153bpmで走り切れた。ただしこれはEdge固有ではなく、45mm級のスーパートレーナー全般に起きる現象だと考えている。SB3でも同じことが起きた可能性は高い。
- Edgeのヒールカップは試着で判断できますか?
-
できない。40km時点では圧迫ゼロ、80kmで右踵に痛み、109km時点では紐の締め方の学習で痛みは解消した。ただし踵の収まりの悪さ自体は残っている。距離と締め方の調整の両方を要求する靴であり、踵にトラブル歴がある人は、その手間を承知した上で選ぶべきである。SB3は526kmでトラブルゼロだ。
- インターバル練習にEdgeは使えますか?
-
400m×15本のような短い反復にはEVO SLを使う。Edgeが合うのは2km×4本にレストを挟んで合計14〜16kmになるクルーズインターバル、つまり「速いロング走」の側だ。8月26日はこの形式で3:50〜4:16/kmを4本走り切った。厚みと安定を借りながら閾値付近を反復する用途で最も機能する。
- ドロップ2mmの差(6mm vs 8mm)は体感できますか?
-
履き比べて明確に感じることはなかった。SB3のほうが走らされている、という感覚もない。ただしEdgeの接地の安定感が高い理由の一部が、この低いドロップと前足部39mmの厚みにある可能性はある。
📝 Conclusion:「SB3一択」が崩れた109km
80km時点の私は「1足ならSB3」と書くつもりだった。109kmを走った今、その原稿は捨てた。踵の痛みは紐の締め方で消え、ビルドアップで見せた押し出しのレスポンスは、SB3にはない鋭さだった。楽しさのSB3、道具としての完成度のEdge——優劣ではなく、性格の違いとして2足は並んでいる。
それでも私はSB3の2足目を買い足し、Edgeも週の「上げる日」に履き続けている。行動がすでに答えだ。長さはSB3、速さはEdge。蒸れと踵の収まりというEdgeのマイナスは消えていないが、それを引き受けてでも借りたい反発がある。VO2max 61、LT Pace 3:57/kmで週135〜148kmを刻む日常において、この2足は競合ではなく分業になった。
Edgeが300kmを超えたとき、耐久性の章を書き直す。そのときこの分業が維持されているか、どちらかに寄っているか——それ自体が次の実験結果だ。この2足を含めたローテーション設計の原型は週110kmを維持する方法に書いている。




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