「NB5の”遊び”を削り、実践仕様に振った一足」——これが、NOVABLAST 5で500〜600kmを走り、そこからランニング人生を始めた私が、NOVABLAST 6を20km走らせて出した結論だ。
週110km、サブ3を目指す34歳ランナーとして、この一足に期待していたのは「あのトランポリンの再来」だった。だが走り出して分かったのは、NB6はNB5の延長ではないということだ。柔らかさとトランポリン感を意図的に削り、Superblast 2に近い硬さと安定感、そして推進力に振り直した「実践的なNB5」——それがNOVABLAST 6の正体だ。
- トランポリン感は”弱まった”——NB5の売りだった柔らかい弾みは後退。SB3のトランポリン感を知っていると、NB6の跳ねは明確に控えめだ
- 走り味はSB2寄りの「硬め・実践的」——走り始めから硬く、想像以上に薄底に近い接地感。5kmでも20kmでも印象は変わらなかった
- 推進力と安定感はNB5より上——柔らかさを削った分、前に進む力と安定感に振っている。LT Pace帯では反発もしっかり感じた
- 役割はEペース〜軽テンポの実践デイリー——私のローテではAdistar 4と同列。ただし軽さと「走る楽しさ」ではNB6が上
- NB5が柔らかすぎた人・SB2好きに刺さる——逆にNB5のトランポリン目当てなら買い替え不要。¥17,600のコスパは高い

📊 Specification:ノヴァブラスト6の基本スペック
ノヴァブラスト6:¥17,600

NOVABLAST 6は、前作NB5からスタック高・ドロップを据え置いたまま、ミッドソール・アウトソール・アッパーを刷新したモデルだ。最大の変更点は、ミッドソール前足部への「FF TURBO SQUARED」ポッド追加と、前足部アウトソールへの「ASICSGRIP」採用である。定価は¥17,600(税込)、前作から¥1,100の値上げとなった。
| 項目 | NOVABLAST 6 | NOVABLAST 5(前作) |
|---|---|---|
| 発売 | 2026年7月10日 | 2025年3月 |
| 定価(税込) | ¥17,600 | ¥16,500 |
| 重量(メンズ27.0cm) | 約249g(実測252g前後) | 約255g |
| ヒールスタック | 41.5mm | 41.5mm |
| フォアスタック | 33.5mm | 33.5mm |
| ドロップ | 8mm | 8mm |
| ミッドソール | FF BLAST MAX + FF TURBO SQUARED(前足部ポッド) | FF BLAST MAX(単層) |
| アウトソール | ASICSGRIP(前足部)+ AHAR LO(かかと) | AHAR LO |
| アッパー | エンジニアードウーブン | エンジニアードジャカード |
| その他 | ヒールタブなし・後方ジオメトリ変更 | ヒールタブあり |
スペック表を見る限りは「順当な正常進化」に見える。前足部にスーパーフォームが入り、グリップが改善し、わずかに軽くなった。だが——数値の印象と、実際に走った印象は、私の場合は一致しなかった。ここからが本題だ。

👟 First Impression:NB5で始めた私が、跳ねを待った瞬間
私がランニングを始めた最初の1足は、NOVABLAST 5だった。500〜600kmを共にした、原点のシューズだ。あの頃の記憶を一言で言えば「トランポリン」——柔らかいクッションが着地を受け止め、走っているだけで楽しい。「走りたい」ではなく「NB5を履いて走りたい」と思わせる。ランニングを続けられたのは、あの楽しさがあったからだ。
その最新作。しかもデイリートレーナーが欲しかった。買わない理由はなかった。足入れした瞬間の印象は良かった。「NB5よりいいかもしれない」——フィット感も履き心地も、静止した状態では明確に上だと感じた。
だが、走り出して数歩で違和感が来た。あのトランポリン感が、来ない。NB5ほどの柔らかい弾みが、足裏に返ってこないのだ。今の私はSuperblast 3の異常なほどのトランポリン感を知っている。その基準で測ると、NB6の跳ねはだいぶ弱まっていた。期待とのギャップが、この記事の出発点になった。
🏃 実走感:20kmとLT Paceで確かめた「硬さと推進力」
7月12日、気温28.8℃・高湿度の中で20.02kmを平均5:01/km・平均心拍163bpmで走らせた。私のLT Paceは3:57/km。今日のペースは完全な有酸素域だ。その条件で得た感触を、事実ベースで残す。
走り始めの第一印象は「硬め」だった。NB5は柔らかいクッションとトランポリン感、つまり「ふわふわ感」が売りだったが、NB6は弾力がそこまで強くない。クッションは当然あるのだが、前面には出てこない。想像以上に薄底に近い接地感——おそらくこの感覚は、シューズ自体の硬さから来ている。そしてこの印象は、5kmを過ぎても、20kmを走り終えても、ほとんど変わらなかった。
一方で、推進力と軽快さははっきりあった。NB5よりも前に進む力は上だ。ただし誤解のないように書くと、EVO SLのように「勝手に前に進まされる」感覚とは違う。柔らかさを削った分だけ安定感と推進力に振られた、という表現が正確だ。デイリートレーナーとして初心者でも扱いやすい素直さがある。
NB5との比較:柔らかさを削り、SB2の質感に寄せた
NB6を一番的確に表すなら、「NB5をSuperblast 2側に寄せたシューズ」だ。硬さと質感が、あのSB2に近い。NB5の柔らかさ・遊びを削って、安定感と推進力を足した。だからこそ実践的で、トレーニングに使いやすい。逆に言えば、NB5であれほど感じた「走る楽しさ」は、確実に減っている。
ASICSのBlast系を私の感覚で整理すると、こうなる。SB3は「NB5の超進化系」——SB2をベースにトランポリン感を極限まで増した一足。対してNB6は「NB5をSB2に近づけた実践版」だ。同じ系譜でありながら、進化の向きが逆になっている。この構図が、NB6を理解する鍵だと思う。
LT Paceでの体感:速く走ると化ける反発
面白いのは、ペースを上げたときだ。LT Pace付近で走らせると、推進力と反発がぐっと立ち上がる。反発力に関しては、明確にNB5より上がっている。ゆっくり走ると硬さが目立つが、速く走ると硬さが推進力に変換される——前足部のFF TURBO SQUAREDが効いているのだろう。「デイリー」と括るには惜しい、軽テンポ帯までカバーできる懐がある。
だから私の使い分けはこうなる。
- Eペースのデイリー:NOVABLAST 6(メイン用途)
- 軽いテンポ走:NOVABLAST 6も可
- 30km LSD:Adistar 4(安定感重視)
- 高強度インターバル:EVO SL(反発と軽さ)
⏱️ Durability:耐久性は「検証中」——正直に書く
結論から書くと、NB6の耐久性は現時点で判断できない。まだ20kmの試走を1回終えたのみだからだ。ここで「耐久性は高い」と断言するのはE-E-A-Tに反する。だから正直に「検証中」と記す。
判断材料はある。原点のNB5で500〜600kmを走った経験だ。NB5はFF BLAST MAX単層で、走り込むとクッションのヘタりを感じる場面があった。海外レビューでも、露出したミッドソールフォームの高摩耗部の耐久性を懸念する声がある。NB6は前足部にスーパーフォームのポッドと、耐摩耗のASICSGRIPが入った。この構成が寿命にどう効くかは、走り込んでから追記する。
耐久性・摩耗の実測データ、および濡れた路面でのASICSGRIPのグリップ検証は、走行距離が伸び次第この記事に追記する。現時点(20km時点)では未検証だ。

⚖️ Comparison:他モデルとの徹底比較
私が実際に使用しているBlast系・デイリー系との比較を、実走の感覚ベースで整理する。NB6の立ち位置は、この表を見れば一目で分かる。
| NOVABLAST 6 | NOVABLAST 5 | Superblast 3 | ADIZERO EVO SL | Adistar 4 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 重量 | 約249g | 約255g | 約239g | 約224g | 約300g |
| ミッドソール | FF BLAST MAX+FF TURBO SQUARED | FF BLAST MAX | FF LEAP+FF BLAST+ | Lightstrike Pro | REPETITOR+ |
| 反発・推進力 | 中〜高(安定寄り) | 中 | 非常に高い | 非常に高い | 低〜中 |
| クッションの柔らかさ | 中(やや硬め) | 非常に柔らかい | 柔らかい(トランポリン) | 適度 | 硬すぎず柔らかすぎず |
| 安定感 | 高い | 中 | 中(柔らかく揺れる) | 中 | 非常に高い |
| 用途 | Eペース〜軽テンポ・デイリー | Eペース・日常 | ロング・テンポ・MP | LT走・インターバル・MP | LSD・ロング・リカバリー |
| NB6との比較 | — | 柔らかく楽しいが推進力・安定感は下 | 反発も軽さも上。トランポリンで楽しい | 反発・軽さで上。ただしEでは速くなりすぎる | 安定感は上。ただし重く楽しさは下 |
| 定価 | ¥17,600 | ¥16,500 | ¥24,200 | ¥19,800 | ¥10,560 |
| 購入 | 購入する | 購入する | 購入する | 購入する | 購入する |
Superblast 3との比較:楽しさと軽さはSB3が上
反発力・軽さ・トランポリン感、いずれもSB3が明確に上だ。SB3は走っていて楽しい。NB6にその高揚感を求めると物足りない。SB3はNB5の超進化系、NB6はNB5の実践版——価格も¥24,200と¥17,600で差がある。楽しさとロング・テンポ性能ならSB3、コストを抑えた実践デイリーならNB6だ。SB3の詳細はSuperblast 3の実走レビューにまとめている。
ADIZERO EVO SLとの比較:Eペースで履きやすいのはNB6
反発と軽さはEVO SLが上だ。だがEVO SLの最大の武器「勝手にスピードが出る」特性は、Eペースでは扱いにくさに変わる。抑えて走りたい日に、脚が勝手に前に出てしまう。その点、NB6の安定感とほどよい反発は、Eペースで履くのに非常に適している。高強度はEVO SL、抑えたデイリーはNB6、という住み分けが私の答えだ。EVO SLの詳細はADIZERO EVO SLの実走レビューを参照してほしい。
Adistar 4との比較:LSDは4、楽しさと軽さは6
私のローテでNB6はAdistar 4と同列の位置にある。安定感で選ぶならAdistar 4だ。硬すぎず柔らかすぎないクッションは、ゆっくり長く走るLSDで頼りになる。真夏の30km LSDをAdistar 4に任せるのはこのためだ。一方で、NB6はAdistar 4より軽く、走っていて楽しい。涼しい日の15〜20kmや、少しペースを上げたい日はNB6を選ぶ。重さを武器にするAdistar 4のレビューと読み比べると、役割の違いが見えるはずだ。
💪 Pros & Cons:メリット・デメリットの徹底分析
| メリット | デメリット |
|---|---|
| NB5より高い推進力 硬めゆえの安定感 Eペースで履きやすい素直さ LT Pace帯での反発 Adistar 4より軽く楽しい ¥17,600の高コスパ・かっこいいデザイン | NB5のトランポリン感・「走る楽しさ」は明確に後退。走り出しは硬く、薄底に近い接地感(耐久性・グリップは検証中) |
メリット:実践的なデイリーとしての完成度
デメリット・気になる点:削られた「遊び」
最大の気になる点は、NB5のトランポリン感=「走る楽しさ」が削られていることだ。NB5より少し硬く、あの柔らかい弾みを期待して買うと肩透かしを食う。これはメリットと表裏一体で、遊びを削ったからこそトレーニング仕様になった、とも言える。あとは耐久性と濡れ路面グリップが現時点で未検証な点。ここは走り込んでから追記する。
🎯 Recommendation:誰におすすめ?誰にはおすすめしない?
NB6が刺さるのは、明確な層だ。NB5が柔らかすぎると感じていた人、そしてSuperblast 2の走りが好きな人。SB2に近い硬さと質感を持ちながら、¥17,600で手に入る。ゲルニンバスのようなブニブニのシューズと、高強度用シューズの両方を持っていて、その中間の「実践デイリー」を探している人にも最適だ。SB2好きでSB3のトランポリン感が苦手なら、なおさらハマる。SB2の走りが恋しい人はSuperblast 2のレビューと併せて検討してほしい。
おすすめしない人:NB5のトランポリン目当ての人
逆に、NB5のあのトランポリン感・走る楽しさに惚れていて、高強度トレーニングは別のシューズでこなしている人には、買い替えを勧めない。NB6はNB5の遊びを削った実践版であり、求めているものが違う。その楽しさを次世代で味わいたいなら、方向性としてはSB3のほうが近い。
📏 Fitting:サイズ選びとフィッティング
サイズ感はシンプルだ。NB5と全く同じサイズで問題ない。私はNB5・NB6ともにワイドを選んでいるが、サイズ・フィットの印象は同一だった。NB5を履いていた人は、同じサイズを選べばまず外さない。
ただし、走り味はスペック表からは読み取れない。NB5の「柔らかい楽しさ」を期待して数値だけで買うと、印象は変わる。可能なら一度、実際に履いて走ってみてほしい。NB6の「硬め・実践的」な質感は、走ってみて初めて腹落ちする種類のものだ。
❓ FAQ:よくある質問
- NB5から買い替えるべきですか?
-
目的による。NB5のトランポリン感・走る楽しさが好きで、高強度は別シューズでこなしているなら買い替え不要だ。逆にNB5が柔らかすぎると感じていたなら、硬めで実践的なNB6のほうがデイリーで使いやすい。
- NB6にトランポリン感はありますか?
-
私の体感ではそこまでない。むしろNB5より弱まった。前足部にFF TURBO SQUAREDが入ったが、あの柔らかい弾みは後退し、硬めで安定寄りの走り味になっている。トランポリン感を求めるならSuperblast 3のほうが近い。
- ロング走に使えますか?
-
涼しい日の15〜20kmなら十分使える。20km試走でも走感は良好だった。ただし30km LSDは、安定感の高いAdistar 4に分がある。気温と距離で使い分けるのが現実的だ。
- Superblast 3とどちらを選ぶべきですか?
-
反発・軽さ・トランポリン感・ロング/テンポ性能を求めるならSB3(¥24,200)。コストを抑えた実践的なデイリーが欲しいならNB6(¥17,600)。SB3はNB5の超進化系、NB6はNB5をSB2に寄せた実践版という位置づけだ。
- サイズはNB5と同じで良いですか?
-
同じで問題ない。私はNB5・NB6ともにワイドで、サイズ・フィット感は同一だった。NB5ユーザーは同サイズで選べば失敗しにくい。
📝 Conclusion:NB5の”遊び”を削った、実践的なNB5
「NB5の遊びを少し減らし、より実践的な練習ができるシューズに作り上げた」——NOVABLAST 6を一言で表すなら、これに尽きる。
世間や海外メディアは「FF TURBO SQUAREDで弾む楽しさが復活した正常進化」と評する。だが私の足は違う答えを返した。NB5であれほど感じたトランポリン感は弱まり、走り味はSB2に近い硬さと安定感に寄っていた。柔らかさと引き換えに、推進力と実践性を手に入れた一足だ。
NB5でランニングを始め、500〜600kmを走った私にとって、これは寂しさと納得が同居する進化だった。あの「NB5を履いて走りたい」と思わせた楽しさは減った。だが、Eペースで抑えて走れる素直さ、LT Pace帯で立ち上がる反発、そして¥17,600というコスパは、週110kmを回すデイリーとして確かな価値がある。
NB5が柔らかすぎた人、SB2の走りが好きな人には、迷わず勧められる。逆にNB5のトランポリン感が忘れられない人は、無理に追いかけなくていい。NOVABLAST 6は、私のローテーションで「実践的なデイリー」という明確な居場所を得た。涼しい日の15〜20kmで、また検証を続けていく。


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