レディネス1でクルーズインターバル2本——3本目0.42kmの失速が証明した疲労蓄積の閾値

レディネス1でクルーズインターバル2本——3本目0.42kmの失速が証明した疲労蓄積の閾値

「トレーニングレディネス1」。Garminが出せる最大級の警告だ。それでも走った。体は想定以上に動いた——2本目の終わりまでは。

📌 この記事の結論
  • レディネス1でも主観は動ける——しかしデータは1本目から崩壊シグナルを発していた
  • 1本目の前半突入ペース3:44——2km目に心拍185への急騰を招いた過負荷の原因
  • 2本目開始直後から心拍184——回復ラップ96秒が「回復」として機能しなかった証拠
  • 3本目0.42kmで4:14・中断——止める判断こそが土日セット練習への投資
  • 接地時間200→215ms、ストライド1.41→1.28m——数値が語るガス欠のプロセス
目次

Condition:レディネス1、それでも体は「動く気がした」

項目数値
睡眠スコア67
トレーニングレディネス1
HRVステータス73

レディネス1は、数値として「完全休養」を推奨するレベルだ。しかし走る前、体に重さはなかった。「レディネス1にしては動けそうだ」という感覚——この判断自体は間違っていない。問題は、その「動ける感覚」がどこで限界を迎えるかの見積もりだ。

HRV73は極端に低いわけではない。睡眠スコア67も及第点に近い。それでもレディネスが1を示す複合的な要因がある。前日までの疲労蓄積が、単一指標では捉えきれないレベルで積み上がっていたと考えるのが妥当だ。「体感と数値の乖離」——今日の練習はそれを実証する実験になった。

Intention:クルーズインターバルで3:50ペースの「維持力」を検証する

設定はクルーズインターバル2km×4本、ターゲットペース3:50/km前後。LTペース(3:57/km)よりやや速い域で長めのインターバルをかける設計だ。

目的は単純なペース達成ではない。「2kmという距離を高強度で繰り返せるか」——サブ3プロジェクトにおける脚の耐久性と心拍応答の確認だ。クルーズインターバルは短距離の爆発力ではなく、閾値付近での持続力を問う。ADIZERO EVO SLを選んだのも合理的だ。軽量かつレスポンスが高く、LT域での接地感覚を鋭く拾える。

Data Result:総距離12.62km、インターバル成功2本・3本目途中中断

項目数値
走行距離12.62 km
タイム1:02:55
平均ペース4:59/km
平均心拍数153 bpm
最大心拍数191 bpm
平均ピッチ177 spm
平均ストライド1.12 m

4本予定のうち完走2本、3本目を0.42kmで切り上げた。数値だけ見れば「未達」だが、中断の判断が正しかったかどうかはAnalysisが答える。

Analysis:「動ける感覚」の正体と、2本目からすでに始まっていた崩壊

ペース(1km目)ペース(2km目)平均ペース1km目HR2km目HR接地時間ストライド
1本目3:443:503:47163185200ms1.41m
2本目3:513:593:55184182206ms1.38m
3本目(中断)4:14(0.42km)156215ms1.28m

1本目:3:44の突入が生んだ心拍+22bpmの急騰

Fact:1km目3:44、2km目3:50。平均3:47/km。設定ペースはクリアした。しかし心拍の推移が問題だ——1km目163bpm、2km目185bpm。わずか1kmで22bpm上昇している。

Qualia:1km目は正直「楽だった」。体が動く感覚があり、ペースが自然と上がった。2km目に入った瞬間、ギアが1段重くなった感覚があった。脚ではなく、胸に来た。

Analysis:163→185bpmの急騰は、1km目の速い入り(3:44)による需要過多だ。心拍応答は遅れる。1km目の「楽な感覚」は心拍が追いついていなかっただけで、実際には過負荷ペースで走っていた。設定の3:50を6秒上回る突入——レディネス1の日の6秒は通常時の30秒に相当すると考えてよい。

2本目:開始直後から心拍184——回復ラップは機能しなかった

Fact:回復ラップ(1分36秒、0.25km)を挟んで2本目へ。開始直後の1km目から心拍184。1本目の最高心拍(190)に近い値からスタートしている。ペースは3:51/kmで入ったが、2km目は3:59まで落ちた。接地時間は1本目(200ms)から206msへ増加、ストライドは1.41mから1.38mへ縮小。

Qualia:2本目に入った瞬間から「これは違う」と感じた。1本目の感覚とは別物だった。走れてはいる。ただ、体の奥底から疲労が滲み出てくるような感覚。脚が上がらなくなる予感がした。

Analysis:回復ラップ96秒は心拍を145まで戻した。しかし2本目開始直後に184まで急上昇している。つまり心肺系は回復していたが、筋肉の代謝系は回復していなかった。接地時間の増加(+6ms)とストライドの縮小(-0.03m)は、脚筋の出力低下を数値で示している。レディネス1の「貯金のなさ」がここに出た。

3本目:0.42kmで4:14、止める判断の正当性

Fact:3本目、0.42kmで4:14/km。設定より24秒遅い。接地時間は215msまで増加、ストライドは1.28mへ。1本目比で接地時間+15ms、ストライド-0.13mの変化だ。

Qualia:3本目に入った瞬間から「脚が上がらない」という明確な感覚があった。ペースを落としても楽にならない。これは「辛さをこらえれば越えられる壁」ではなく、「今日の限界」だと判断した。

Analysis:接地時間215msは、インターバル中の推移として明らかな増加傾向だ。ストライド1.28mはウォームアップレベルに近い。高強度域での動員が完全に失われた状態と言える。ここで続けることのリスク(故障・土日セット練習への影響)と得るものを天秤にかけた結果、中断は合理的判断だ。

Gear Choice:ADIZERO EVO SL——レディネス1でも脚を「正直に」返してくれるシューズ

今日EVO SLを選んだのは、疲労状態でも「感覚を誤魔化さないシューズ」が必要だったからだ。厚底レース用シューズは推進力を底上げするぶん、疲労のフィードバックが遅れる。EVO SLは軽量かつダイレクト接地感が強く、脚の状態をリアルタイムで返してくれる。

実際、3本目の「脚が上がらない」感覚はEVO SLだからこそ鮮明に拾えたと思っている。Adios Pro 4で走っていたら、もう少し踏ん張れた——しかしそれは「続けられた」ではなく「誤魔化せた」だ。今日の練習における中断判断は、EVO SLの正直さによって助けられた部分がある。

Next Strategy:土日セット練習を最優先に、今週の回復プロトコル

  • 今週残り(水〜金)は強度練習を完全に抑制——Eペース or 完全休養
  • レディネスが20以上に回復するまで閾値以上の練習は行わない
  • 土曜のMP走20kmに向けて、木曜時点でのレディネスを指標にする
  • 次回レディネス1での高強度練習は2本上限をルール化——3本目以降は判断の余地なしで中断
  • 左足踵・両足内側広筋の状態を丁寧に確認する

❓ FAQ

トレーニングレディネス1でもインターバルを実施してよいか?

「良い・悪い」の二択ではない。今日の実験が示したように、レディネス1でも2本は質を保って実施できる。問題は3本目以降だ。レディネス1の日は「2本で確実に切り上げる」を事前ルール化しておくことで、余計な判断コストを削減できる。

回復ラップが短すぎる場合、次のインターバルにどう影響するか?

今日の回復ラップは96秒(0.25km)だった。心拍は145まで戻ったが、2本目開始直後に心拍184まで上昇した。筋肉の代謝系回復は心拍回復より遅れる。疲労状態での回復ラップは最低2〜3分を確保するか、「心拍が140を下回るまで」という条件で設定する方が再現性が高い。

接地時間の増加はフォーム崩れのサインか?

接地時間は疲労とともに増加する傾向がある。今日は200ms(1本目)→215ms(3本目)と15ms増加した。ストライドの縮小(1.41→1.28m)と連動しており、脚の伸展力低下を示す。フォームが崩れているというよりも、「エンジンが止まりかけている」状態の数値的サインだ。

📊 Appendix:全ラップデータ

スクロールできます
ラップタイム累積距離(km)ペースGAP心拍心拍max上昇(m)下降(m)パワー(W)W/kgパワーmax最大W/kgピッチ接地(ms)GCT歩幅(m)上下動(cm)上下動比(%)最高ペース最高ピッチ
1 (WU)5:54.55:551.005:545:43130145862404.173415.931752500.998.48.64:59182
2 (WU)5:06.011:001.005:065:06144146042594.502784.831812381.098.67.94:55184
3 (WU)5:18.916:191.005:195:21142145022484.312674.641792431.048.58.25:06183
4 (WU)4:39.220:590.875:235:20145148322504.352895.031762431.068.68.25:05181
5 (I-1)3:43.924:421.003:443:45163176013556.173986.921892001.419.16.43:25194
6 (I-1)3:50.228:331.003:503:51185190003476.033676.381872041.399.16.63:42190
7 (Rec)1:35.830:080.256:196:05145185002233.883716.451722560.978.38.83:50188
8 (I-2)3:51.134:001.003:513:52184191003445.983976.901862061.389.26.63:20191
9 (I-2)3:59.037:591.003:593:59182187003325.773876.731842091.369.16.73:39189
10 (Rec)1:50.339:490.237:518:02144185001552.703115.411402710.847.48.84:29178
11 (I-3)1:47.241:360.424:144:18156176003105.394107.131792151.288.97.03:33190
12 (Rec)0:01.441:3701071070000000
13 (I-4)0:00.841:380.001061060000000
14 (CD)5:53.547:321.005:536:02141155032243.902604.521712540.958.48.85:23180
15 (CD)5:32.453:041.005:325:36146155202434.232694.681752491.018.58.55:17181
16 (CD)5:24.958:291.005:255:24151162322554.433405.911792451.028.58.34:23186
17 (CD)4:26.01:02:550.845:165:23154171262544.424067.061682421.088.78.23:36191
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この記事を書いた人

RuncersLAB運営。フルマラソンでの目標達成に向けて、論理的かつ科学的なアプローチでトレーニングに励む市民ランナー。 現在は「週110km」の走行をベースに、Vo2MAX61を基準とした独自のメニューを追求中。自身の体験とデータに基づき、42.195kmを「使い切る」ための戦略やギアレビューを発信しています。

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