週110kmランナーが選ぶ湘南ランニングスポット——茅ヶ崎発・江の島往復の実走コース設計図

週110kmランナーが選ぶ湘南ランニングスポット——茅ヶ崎発・江の島往復の実走コース設計図

湘南で走るなら、どこを走るべきか。観光ガイドの「絶景」ではなく、週110kmをこの湘南で積み上げてきた地元ランナーの視点で答える。茅ヶ崎を起点に、リカバリー・Eペース・ロング・スピードまで、練習の目的別に走り分けてきた実走コースを示す。

サブ3を目指す湘南在住の市民ランナー。VO2max 61、LT Pace 3:57/km。朝90分以内という時間制約の中で、茅ヶ崎から江の島・鎌倉・平塚へと毎週走り込んでいる。この記事は「景色がいい」で終わらせない。どのコースを、どの練習に、どう使うかまでを設計図として渡す。

📌 この記事の結論
  • 背骨は「茅ヶ崎C→江の島」のサイクリングロード——信号ゼロ・平坦・片道約10km。Eペース20kmが一筆書きで組める
  • 稲村ケ崎で江の島と富士山が一直線に並ぶ——茅ヶ崎Cから約10〜12km。30kmロングのご褒美区間だ
  • 柳島スポーツ公園の600mゴムチップが「人工トラック」——障害物ゼロでタイム計測・スピード練習に最適
  • 夏の海沿いは直射で死ぬ——日中は茅ヶ崎中央公園・辻堂海浜公園の日陰へ退避する
  • 給水・トイレが乏しい湘南ラン——ソフトフラスク必須、靴への砂侵入にも注意が要る
目次

🗺️ Overview:茅ヶ崎発・江の島往復という「湘南ランの背骨」

練習目的コース距離主なシューズ
リカバリー10km自宅〜サザンビーチ茅ヶ崎C 往復約10kmGel Nimbus 28
Eペース20km茅ヶ崎〜江の島 往復約20kmSuperblast 3 / Adistar 4
ロング30km茅ヶ崎〜稲村ケ崎・長谷寺手前 往復約30kmSuperblast 3
スピード・タイム計測柳島スポーツ公園 660mコース周回ADIZERO EVO SL
夏の日陰・不整地茅ヶ崎中央公園 / 辻堂海浜公園約0.8km周回〜Superblast 3

湘南ランの拠点は茅ヶ崎駅周辺だ。私の場合、自宅を出てサザンビーチ方面へ下り、海沿いを東は江の島・鎌倉、西は平塚へと走る。この「茅ヶ崎を起点に東西へ伸ばす」構造が、すべての練習コースの背骨になっている。

距離の感覚はシンプルだ。自宅→茅ヶ崎の海沿い→江の島までが片道約10km。だから往復すれば、それだけでEペース20kmが完成する。さらに江の島を越えて稲村ケ崎まで伸ばせば往復で約30km。西の平塚シーテラスを目的地にしても30km前後に収まる。地図上のランドマークが、そのまま距離の目盛りになる。これが湘南で走る最大の利点だ。

この距離設計が機能するのは、週110kmという固定ボリュームが前提にあるからだ。平日に時間が取れない社会人ランナーでも、コースの距離が決まっていれば「今日はどこまで」で練習量を管理できる。週110kmをどう積むかは週110kmを維持する方法で論じたが、その距離を支えているのは、ここで挙げる湘南の具体的なコース群である。

🌊 海沿いサイクリングロード:信号ゼロの茅ヶ崎C→江の島

🗺️ 要点
  • サザンビーチの茅ヶ崎C(サザンC)が起点——自宅から約5km、往復でリカバリー10km
  • 茅ヶ崎Cから江の島方面は信号が一つもない——ペースが途切れずEペース20kmに最適
  • 海風・ビーチ・江の島ビュー——強度を保ちながら高揚感を得られる稀有な区間

湘南ランの心臓部はここだ。サザンビーチ茅ヶ崎にある「茅ヶ崎C」のシンボル(サザンC)を起点に、サイクリングロードを江の島方面へ走る。スケートボードのライドパーク前を抜け、海を間近に感じながら、江の島の目の前まで信号に一度も止まらず到達できる。

「信号ゼロ」がどれほど価値があるかは、ペース練習をする者にしか分からない。市街地では信号のたびにペースと心拍がリセットされる。だがこの区間では、設定ペースを一定に保ったまま10km走り切れる。私はここをEペース20kmの主戦場にしている。茅ヶ崎の海沿いから江の島まで片道約10km、往復で20km。海沿いをAdistar 4で流したときの平均心拍は151bpm前後で、LT Pace 3:57/kmから見れば完全な有酸素域だ。狙い通りの「E」になる。

短い距離で使うなら、サザンビーチの茅ヶ崎Cまでが自宅から約5km。往復すれば約10kmのリカバリーコースになる。ポイント練習翌日、心拍を上げずに脚を回すだけの日は、このCシンボルを折り返し点にする。距離が体に染み込んでいるので、ペースを測らなくても「今日はリカバリー10km」が成立する。

そして、この区間は気分の問題でも優れている。海風が吹き、ビーチが視界に入り、江の島が近づいてくる。淡々と脚を回す作業のはずが、江の島が見えた瞬間に高揚感が来る。江の島水族館の前を通る頃には、強度を保っているのに気持ちは軽い。データを淡々と刻む日でも、ここだけは主観が勝手に上がる。ランナーの数も多く、並走する刺激もある。

🗻 江の島→鎌倉:稲村ケ崎で江の島と富士山が一直線に並ぶ30kmロング

🗺️ 要点
  • 江の島から鎌倉方面はアップダウンあり——平坦区間にない脚の刺激が入る
  • 鎌倉高校前はスラムダンクの聖地——海・江ノ電・坂が一度に揃う
  • 茅ヶ崎〜長谷寺手前の往復で約30km——日曜ロングの定番コース

日曜の30kmロングは、茅ヶ崎から江の島を越え、鎌倉の長谷寺手前まで走って折り返す。これで約30km。あるいは茅ヶ崎から西の平塚シーテラスへ行き、そこから江の島まで戻って自宅へ——という三角形のコースでも30kmに届く。湘南は「ランドマークを繋ぐだけで距離が決まる」ので、ロングの設計が驚くほど楽だ。

江の島より東は、平坦一辺倒ではない。丘になった区間があり、アップダウンが入る。海沿いの平坦Eペースにはない脚の刺激が得られるため、私はロングの「後半に効かせる地形」として使っている。

鎌倉高校前:海・江ノ電・坂が一度に揃う聖地

鎌倉高校前の踏切は、スラムダンクの聖地として有名な場所だ。目の前を江ノ電が走り、その奥に海が広がる。走っていて純粋に美しい。観光客も多いが、それを差し引いても、この景色の中を走れること自体が湘南ランの特権だと感じる。

稲村ケ崎:江の島と富士山が一直線に重なる瞬間

このコースの主役は稲村ケ崎だ。江ノ電沿いをさらに進むと再び丘になり、そこから江の島方向を振り返ると、江の島と富士山が一直線に重なって見える場所がある。稲村ケ崎温泉の付近から眺めるのが一番いい。茅ヶ崎Cからは約10〜12km、江の島を越えてさらに5kmほど進んだ地点だ。

長谷寺方面から茅ヶ崎へ帰ってくるとき、ちょうどこの「富士山と江の島が一直線」のビューが正面に来る。30kmロングの後半、脚が重くなってくる時間帯にこの景色が現れる。富士山に向かうのか、江の島に向かうのか——湘南のロングは、結局このどちらかへ顔を向けて走ることになる。気分は軽くなり、後半の30kmが心理的にぐっと楽になる。データだけで走る私でも、この区間の効用は認めざるを得ない。

さらに進めば長谷寺、その奥に鎌倉駅がある。長谷寺周辺まで来ると街の表情がぐっと整ってくる。ロングの折り返し地点として、ちょうどいい区切りになる。

⏱️ スピード&不整地:柳島スポーツ公園と中央公園・辻堂海浜公園

スポット路面一周主な用途
柳島スポーツ公園(600m)ゴムチップ600mタイム計測・スピード練習
柳島スポーツ公園(800m)舗装800mジョグ・流し
茅ヶ崎中央公園土・不整地約800m不整地ジョグ・夏の日陰
辻堂海浜公園園内路約1.5km日陰ジョグ・他ランナーの刺激

海沿いの直線がペース走の場なら、スピード練習と不整地は内陸の公園が担う。海沿いは信号こそないが、計測ポイントとしては風と人通りの影響を受ける。だからスピードを「測る」ときは、専用の場所を使い分ける。

柳島スポーツ公園:660mゴムチップは「人工トラック」だ

柳島スポーツ公園には660mと800mの2種類のジョギングコースがある。特筆すべきは660mのコースで、ゴムチップで整備され、トラックと同じ感覚で周回できる。障害物が一切ない。信号も歩行者の横断もない。つまり、ここは実質的な「人工トラック」だ。

この性質は、タイム計測やスピード練習に決定的に効く。VO2max向上を狙うインターバルや、設定ペースの再現性を確認したいとき、外乱がない環境は何より重要だ。私はここをADIZERO EVO SLでの高強度練習に充てている。1周660mという距離も、本数を区切って管理しやすい。公園前には新しくできた湘南の道の駅があり、練習後に食事も取れる。

茅ヶ崎中央公園:土の不整地で接地を変える

茅ヶ崎駅のすぐ近くにある中央公園は、一周約800m、緑が豊かで園内が土で囲まれている。不整地ランに向いた数少ない場所だ。舗装路ばかりでは入らない接地の刺激が得られる。フォームや接地を意識したい日、あるいは舗装の衝撃から脚を逃したい日に使う。駅近なので、平日のスキマ時間にも組み込みやすい。

辻堂海浜公園:ランナーが集まる刺激の場

辻堂駅から江の島方向へまっすぐ進むと辻堂海浜公園がある。多くのランナーが集まる場所で、人の走りから刺激を受けたいときにいい。一人で実験しながら走るのが私のスタイルだが、それでも周りに速いランナーがいる環境は、無意識にペースを引き上げてくれる。後述する通り、夏の日陰コースとしても優秀だ。

🏁 湘南国際マラソン:134号線と練習コースの重なり

🗺️ 要点
  • 国道134号は湘南国際マラソンのコースと重なる——江の島〜茅ヶ崎シーテラス間はほぼ一致
  • レースは車道、練習は歩道・サイクリングロード——同じコースを完全再現はできない
  • 気温・地形・雰囲気はほぼ同一——本番のイメージ作りに直結する

湘南国際マラソンに出るランナーにとって、ここまで挙げた海沿いコースは練習の意味が一段上がる。国道134号線は、湘南国際マラソンのコースと重なる区間があるからだ。特に江の島から茅ヶ崎シーテラス(平塚側)までの区間は、ほぼ完全に一致していると言っていい。

ただし、完全な再現ではない。レースは134号の車道を走るが、練習では歩道、あるいはその内側のサイクリングロードを走ることになる。だから「全く同じ路面を走れるか」と言えば、答えはノーだ。それでも、地図上のコース取り、気温、海沿い特有の風、そして雰囲気は、本番とほぼ同じ。レース当日の感覚を、日常の練習で先取りできる。これは地元ランナーの大きなアドバンテージだ。

私自身、湘南国際マラソンを走り、その崩壊を全42ラップで分解した。普段の練習コースと重なる道だからこそ、レース後の分析が「自分の庭での出来事」として腑に落ちた。その詳細はフルマラソン3:34:12の全ラップ分析にまとめている。走り慣れた道で崩れた事実は、言い訳の余地を完全に奪ってくれた。

⚠️ Caution:夏の直射・給水・砂という地雷

🗺️ 要点
  • 夏の日中の海沿いは直射直撃——走らない。日陰の公園へ退避する
  • 給水ポイントはほぼ皆無——ソフトフラスク持参が前提
  • トイレは約2kmおき・靴に砂——位置の把握と対策を

湘南の海沿いは日当たりが良すぎる。これは景色の良さの裏返しであり、夏には最大のリスクになる。

夏の日中にビーチ沿いを走るのは絶対に勧めない。遮るものがなく直射が直撃するため、熱中症のリスクが跳ね上がる。夏場は早朝に走るか、茅ヶ崎中央公園・辻堂海浜公園の日陰コースへ退避するのが鉄則だ。

給水も油断できない。海沿いには水分を補給できる場所がほぼない。辻堂海浜公園の給水場くらいで、サイクリングロードの途中に自販機は期待できない。江の島まで行けば自販機はあるが、そこに着く前に脱水する。ソフトフラスクに水を入れて走るのが前提条件だと考えていい。

トイレは点在しているが、間隔は約2kmおき程度。辻堂海浜公園にもあるが、コース上の位置を事前に把握しておかないと困る。そしてもう一つ、海沿い特有の現象として、走っていると靴の中に砂が入る。砂浜で刺激を入れたあとは特にそうだ。長距離で気になる場合は、ゲイターや砂が入りにくいシューズ選びも検討に値する。

これらの地雷を踏まえても、湘南の海沿いを走る価値は揺るがない。景色の良さが、デメリットを上回る。要は、時間帯と装備を間違えなければいいだけだ。

❓ FAQ:湘南ランニングのよくある質問

湘南で初めて走るなら、どのコースがおすすめ?

サザンビーチ茅ヶ崎の「茅ヶ崎C」から江の島方面へ伸びるサイクリングロードを勧める。信号が一つもなく、平坦で、海を間近に感じながら走れる。片道約10kmなので、自分の体力に合わせて折り返し地点を調整すれば、5kmでも20kmでも自在に距離を作れる。

江の島と富士山が同時に見える場所はどこ?

稲村ケ崎だ。江ノ電沿いの丘から江の島方向を振り返ると、江の島と富士山が一直線に重なって見える。稲村ケ崎温泉の付近から眺めるのが一番いい。茅ヶ崎Cからは約10〜12km、江の島を越えてさらに5kmほど進んだ地点になる。

夏でも湘南の海沿いは走れる?

日中の海沿いは直射が直撃するため勧めない。走るなら早朝に限る。日中に走りたい場合は、茅ヶ崎中央公園や辻堂海浜公園の日陰コースへ退避するのが安全だ。日当たりの良さは景色の魅力と表裏一体だが、夏場だけは明確なリスクになる。

スピード練習やタイム計測に使える場所は?

柳島スポーツ公園の660mジョギングコースが最適だ。ゴムチップで整備され、トラックと同じ感覚で周回できる。障害物が一切ないため、インターバルやタイム計測の再現性が高い。公園前には湘南の道の駅があり、練習後の食事にも使える。

湘南国際マラソンの練習コースになる?

なる。国道134号線は湘南国際マラソンのコースと重なり、江の島〜茅ヶ崎シーテラス間はほぼ一致している。ただしレースは車道、練習は歩道・サイクリングロードを走るため、完全な再現ではない。それでも気温・地形・雰囲気はほぼ同じで、本番のイメージ作りに直結する。

📝 Conclusion:湘南は「距離が読める」練習場だ

湘南エリアの強みは、絶景そのものではない。ランドマークを繋ぐだけで距離が決まり、目的別にコースを選べる「練習場としての設計のしやすさ」だ。茅ヶ崎Cから江の島まで往復してEペース20km。稲村ケ崎まで伸ばして30kmロング。柳島でスピードを測り、夏は中央公園・辻堂海浜公園の日陰へ逃げる。海沿いはそのまま湘南国際マラソンのコースに重なる。

そこに、稲村ケ崎で江の島と富士山が一直線に並ぶ景色が加わる。データで走る私でも、30kmの後半にあの景色が現れると気分が軽くなる。湘南は、強度と高揚感を両立できる稀有な場所だ。

ただし、これだけのコースを週単位で回すには、コースの良さだけでは足りない。仕事・家庭・睡眠の中に走る時間をどう配線するかという設計が要る。湘南という恵まれた環境を「削らずに」走り続けるための時間術は、社会人ランナーが週110kmを「削らない」ために捨てたものにまとめた。次はそちらを読んでほしい。

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この記事を書いた人

RuncersLAB運営。フルマラソンでの目標達成に向けて、論理的かつ科学的なアプローチでトレーニングに励む市民ランナー。 現在は「週110km」の走行をベースに、Vo2MAX61を基準とした独自のメニューを追求中。自身の体験とデータに基づき、42.195kmを「使い切る」ための戦略やギアレビューを発信しています。

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