胃腸炎リカバリー期の13kmで、ペースより先に来た「内臓の壁」。睡眠スコア22とラップ8の5:50が示した上限

胃腸炎リカバリー期の13kmで、ペースより先に来た「内臓の壁」。睡眠スコア22とラップ8の5:50が示した上限

2026年4月18日、私は脚の限界ではなく、内臓側の疲労が先に距離の天井を決めた走りをした。データは、その判断が妥当だったことを淡々と残している。

📌 この記事の結論
  • 睡眠22は「走れない」印ではなく「勝負しない」合図——レディネス52・HRV58と併せ、当日は距離より回復優先の設計が妥当だった。
  • 序盤の心拍142〜149(5:00/km前後)は、体感どおり「軽いペースに見えない負荷」——胃腸炎後の水分・電解質・自律神経のノイズが、有酸素域でも心拍を押し上げた可能性が高い。
  • ラップ8の5:50/km・平均心拍123は損切りの形跡——ペースを落としても走り続けること自体がコストになり、13kmで切り上げたのは合理的だった。
  • ADIZERO EVO SLは「今日のような観察走」の足元に向く——推進で殴る日ではなく、接地負荷を分散しながら様子を見る日の選択として機能した。
  • 次は距離の回復より先に睡眠と内臓の回復をKPIに戻す——レディネスと主観が揃ってから、週間ボリュームの積み上げに戻る。
エンティティ値(本記事での参照)
VO2max61
LTHR179 bpm
LT Pace3:57/km
本日平均ペース5:11/km
本日平均心拍141 bpm
本日のシューズADIZERO EVO SL
目次

📊 Condition:睡眠22が意味すること

項目数値
睡眠スコア22
トレーニングレディネス52
HRVステータス58

睡眠スコアが低い日に「今日は何を守るか」と問うと、答えは距離ではなく回復の優先順位だ。睡眠22は深い回復が取れていない合図であり、週間設計のフル出力には早すぎる。一方でレディネス52は中間帯で、極軽い刺激で血流を回す判断は許容範囲に入る。出発前の主観が「特段キツくないが最高でもない」だったのは、この指標束と矛盾しない。数値は悪いが身体は完全に沈んでいない——その狭い帯の中で走った。低レディネスや回復優先の日の扱いは、低レディネス下での積極的休養。ボメロ18と刻むリカバリーの最適解の整理とも地続きである。

🎯 Intention:胃腸炎明けの「様子見」としてのロング気味セッション

胃腸炎が完全には抜けていない前提で、ゆっくりめのジョグに寄せる。出だしで心拍が高めに出たため、当初より遅いペース帯へ寄せた。これは逃げではなく、当日の一次情報に従った強度管理だ。位置づけは距離を伸ばす本番ロングではなく、体調確認のためのロング気味のセッションに近い。サブ3プロジェクト全体の文脈から一歩引き、回復のログとして切り出す日だった。

🏃 Data Result:13.02kmが示したプロファイル

項目数値(Garmin・概要)
走行距離13.02 km
タイム1:07:26
平均ペース5:11 /km
平均心拍数141 bpm
最大心拍数166 bpm
平均ピッチ174 spm
平均ストライド1.09 m

LTHR179bpm・LTペース3:57/kmに対し、平均141bpm・5:11/kmは紙の上では明確な有酸素域だ。だが平均は嘘をつくことがある。ラップ分解を見ると、序盤1〜7kmは5:00/km前後でも心拍が142〜152bpmと高めに張り付き、8kmでペースが5:50/kmまで落ちると心拍は123bpmまで下がる。ペース操作に対する心拍の感度が、平常時のジョグとは違う形で現れている。

🔬 Analysis:ペースは軽いのに、なぜ「続けられない」が来たか

観点データ主観
序盤の棚1〜3周 心拍142〜149・ペース約5:00出だしで心拍が高い
損切り8周 5:50・心拍123・ピッチ169内臓側の違和感が強い
後半9〜13周 心拍135〜142ペースは重くないが快さは戻らない

序盤心拍:有酸素域のはずが「高い」

Fact:ラップ1〜3は平均ペース4:59〜5:03/km、平均心拍142〜149bpm。ラップ6〜7はペース5:04〜5:21/kmでも心拍146〜152bpm。

Qualia:出だしで心拍が高めに出た感覚があり、早めのペースからさらに遅らせた。

Analysis:5:00/km前後は平常時なら心拍がもう一段低く落ちる余地がある帯であることが多い。睡眠22と胃腸炎明けが重なり、血漿量や電解質、自律神経のトーンが通常と異なる可能性がある。同じペースでも心拍が一段高い棚に載る現象は説明しやすい。

ラップ8の減速:内臓疲労と意思決定の一致

Fact:ラップ8は5:49.9/km、平均心拍123bpm、平均ピッチ169spm、歩幅0.97mと、前後のラップから明確に外れたプロファイル。

Qualia:ペースだけを見れば中盤以降はきついとは言い切れない一方で、走り続けること自体が難しく、内臓側の違和感が強かった。

Analysis:心拍が落ちたのは、脚だけを酷使してペースを維持した結果とは様相が違う。ペース・心拍・ピッチが同時に下がるのは意図的に負荷を抜いた減速と整合する。内臓疲労は筋痛ほどログに色が付きにくい。距離を伸ばす意思が折れるタイミングと大きな減速が重なるなら、それを全身コンディションのシグナルとして扱うべきだ。13kmで終えた判断は、ログと主観の両方を尊重した帰結である。

後半ラップ:遅らせた後も「軽さ」は戻り切らない

Fact:ラップ9〜13は5:07〜5:30/km、心拍135〜142bpm。序盤より心拍は下がったが、平常の超軽ジョグほど低くはない。

Qualia:中盤〜後半はペースだけ見れば重くはないが、内臓の疲労感は残った。

Analysis:一度減速して心拍を下げても主観の全身の快さが戻らない場合、心拍だけでは捉えきれない疲労——今日の文脈では消化管・全身ストレス——が残存しているサインとして扱う。ここで距離を伸ばして精神勝利を取りにいくより、当日の目的である様子見を優先して切り上げた方が、翌日以降の週間設計にとって損が少ない。

👟 Gear Choice:EVO SLで「観察走」の足元を守る

胃腸炎明けで落ちているのは脚力とは限らない。水分・栄養吸収・睡眠の基盤かもしれない。そのとき足元をさらにシビアにする必要はない。ADIZERO EVO SLは普段LT域でも使う一足だが、この日は推進で攻めるのではなくローリングで距離を積む意図に合わせた。実走感としてはクッションとロールで接地の細かい不快感を拾いにくい。モデルの全体像は【実走レビュー】ADIZERO EVO SL:サブ3ランナーが語る「一足で全ての練習を完結させるスーパーシューズの頂点」に任せ、今日に限定すれば「観察走」のメンタルと相性が良かった。

🧭 Next Strategy:回復をKPIに戻す

  • 睡眠スコアが平常帯に戻るまで、ロングの距離は伸ばさない。レディネス単体より睡眠の底上げを先に見る。
  • ジョグは心拍の棚で管理する。同じ5:00/kmでも心拍が平常より+5〜10bpm高い日は、距離を伸ばさず幅を取る。
  • 内臓症状がゼロになってから48〜72時間は競技モードに入らない。今日のログはその根拠のひとつになる。
  • 痛みがなくても全身コンディションは負荷の制約条件であるという発想は、左足踵の腫れと内側広筋の張り:週110km継続中の怪我管理とトレーニング調整【実践記録】で積み上げてきた調整軸と同型で扱う。
  • 再開の合図は、睡眠スコア・主観の軽さ・ジョグ中心拍の正常化の三点が揃うこと。揃うまでMP走やインターバルに戻らない。

❓ FAQ

睡眠スコアが低い日に、走らない方がいいのか。

目的次第である。睡眠22の日に閾値やMPを入れるのは非推奨だ。一方、極軽いジョグで血流だけ回し距離に上限を設けるのは選択肢になる。重要なのは走ったことより何も壊さなかったかである。

ペースは軽いのに、なぜ距離が伸びないのか。

脚ではなく内臓・自律神経・脱水など、ログに出にくい層がボトルネックになることがある。心拍の異常な高さ、減速後も戻らない違和感、食欲や便通の乱れをセットで見る。

胃腸炎明けのジョグは、どのくらいが目安か。

固定距離はない。当日は心拍と内臓の主観が揃って13kmで止めた。次回も同様に、事前の距離目標より当日のシグナル優先でよい。

📊 Appendix:全ラップデータ

GCTはGarmin出力が「–」のため表では「—」とした。ラップ14は計測上の短区間(0.02km)。

スクロールできます
ラップタイム累積距離(km)ペースGAP心拍心拍max上昇(m)下降(m)パワー(W)W/kgパワーmax最大W/kgピッチ接地(ms)GCT歩幅(m)上下動(cm)上下動比(%)最高ペース最高ピッチ
14:59.54:59.51.004:594:561421661002834.923385.881752401.139.08.04:28180
25:02.810:021.005:035:05149158142644.592955.131772421.119.08.14:52182
35:01.115:031.005:015:08143149262634.572874.991772421.118.98.14:49182
44:51.319:551.004:515:00148151042694.683015.231752371.169.17.94:41182
54:56.424:511.004:564:59148158102694.683025.251772381.139.07.94:42181
65:04.029:551.005:045:07146163012604.523456.001742401.118.98.03:59189
75:21.035:161.005:215:24152162002454.262684.661712441.078.88.25:02181
85:49.941:061.005:506:02123139682263.933205.571692570.978.58.95:07187
95:29.846:361.005:305:33135153462474.303025.251722491.048.88.54:45181
105:16.351:521.005:165:19137153012534.402774.821762441.078.88.24:58188
115:14.057:061.005:145:16142156202584.492985.181742451.078.88.24:52180
125:07.21:02:131.005:075:15139157442564.453616.281722441.109.08.24:05181
135:07.21:07:201.005:075:23135151392534.403305.741702431.129.08.14:38181
140:05.81:07:260.024:014:57141141002774.822814.891772401.139.18.04:56177
概要1:07:261:07:2613.025:115:1614116633452574.473616.281742441.098.98.23:59189
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この記事を書いた人

RuncersLAB運営。フルマラソンでの目標達成に向けて、論理的かつ科学的なアプローチでトレーニングに励む市民ランナー。 現在は「週110km」の走行をベースに、Vo2MAX61を基準とした独自のメニューを追求中。自身の体験とデータに基づき、42.195kmを「使い切る」ための戦略やギアレビューを発信しています。

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