3:34:12を書き換えた実験——板橋Cityマラソン3:18:44、脚は生きていた。胃が先に壊れた。

3:34:12を書き換えた実験——板橋Cityマラソン3:18:44、脚は生きていた。胃が先に壊れた。

3:18:44。PBを15分28秒更新した。しかし、サブ3には18分45秒届かなかった。

これが板橋Cityマラソン2026の結果だ。レース前夜に「仮説書」を書いた。達成確率10%。サブ3:05は確実。Hyper Warp Pureで内側広筋は持つ。補給はMaurtenで万全——。あの夜の宣言と、42.195kmの現実を、データで照合する。結論から言えば、仮説の半分は正しかった。そして、想定外の変数が顔を出した。

📌 この記事の結論
  • 3:34:12→3:18:44、PB15分28秒更新——サブ3には18分45秒届かず。だが全区間で前回を上回った
  • 事前仮説「Hyper Warp Pureで内側広筋解消」は42kmで正解——張りゼロで完走。シューズ変更と中殿筋強化の複合効果
  • 崩壊の主因は「胃」——Maurten補給が16kmから内臓を蝕み、21kmで心臓・脇腹に激痛。以降のジェルは摂取不能
  • 脚は生きていた——レース後の筋疲労は最小。壊れたのは脚ではなく消化器。崩壊のメカニズムが前回と完全に変わった
  • 1シーズン3レース連続PB更新——実験は正しい方向に進んでいる。次の変数は「MPペースでの補給耐性」
目次

📊 Result:3:18:44——42.195kmの全体像

区間板橋ペース板橋心拍板橋パワー湘南ペース湘南心拍湘南パワー
1-10km4:14/km177bpm315W4:35/km163bpm298W
11-20km4:17/km183bpm310W4:30/km174bpm303W
21-25km4:28/km180bpm303W4:46/km175bpm289W
26-30km5:02/km180bpm272W5:10/km169bpm268W
31-35km5:27/km176bpm239W5:55/km157bpm235W
36-42km5:35/km177bpm247W6:09/km152bpm226W

全6区間で、板橋は湘南を上回った。ペースだけではない。パワーも、すべての区間で前回を超えている。3ヶ月のトレーニング——中殿筋強化、ピッチ走法、シューズ変更——が確実に脚の耐久性を向上させた証拠だ。

注目すべきは心拍の推移だ。湘南では31-35km区間で心拍が157bpmまで落ちた。脚が動かなくなり、心拍を上げられなくなった結果だ。一方、板橋では同区間で176bpm。脚はまだ動いていた。崩壊のメカニズムが完全に変わったことを、この数値が証明している。

前半ハーフを1:29:30で通過し、後半は1:49:14。ネガティブスプリットには程遠い。だが湘南の前半1:36台・後半1:58台と比較すれば、崩壊の深度は明らかに浅くなった。では、なぜ3:18:44に終わったのか。答えは脚の外にある。

✅ Verification:事前仮説の答え合わせ——3つの問いへの回答

仮説事前記事の主張42kmの結果判定
①内側広筋Hyper Warp Pureで張りは出ない42km完走、張りゼロ✅ 正解
②ペース計画4:15/kmイーブンで42km21kmまで維持、以降崩壊(原因は脚ではない)△ 脚的には妥当
③サブ3:05「確実にいける」3:18:44(14分オーバー)❌ 外れ

仮説1:Hyper Warp Pureで内側広筋は解消するか——✅ 正解

内側広筋の張りは一切出なかった。42.195kmを完走し、レース後も足の痛みはほぼゼロだ。過去2回のフルマラソン(Adios Pro 4使用)では20-25km地点で必ず発生していた張りが、今回は消えた。

ただし、Adios Pro 4のロッカー構造と6.5mmドロップだけが原因だったかは断定できない。この3ヶ月で中殿筋の強化に取り組み、ピッチを意識した走法に変えた。これらの複合効果かもしれない。因果の切り分けは完全にはできない。だが、仮説は少なくとも42.195kmの距離で支持された。やってきたことが無駄ではなかったことの証明だ。

仮説2:4:15/kmイーブンで42km——△ 脚的には妥当だった

序盤は想定以上にスムーズだった。Bブロックスタートだが、板橋のBブロックにはサブ3狙いのランナーが集結していた。渋滞はほぼ発生せず、1km目から4:26で入り、2km以降は集団に合流して4:12/km前後で巡航した。「ちょっと速いかもしれない」とは感じていたが、きつくはなかった。

4:15/kmの巡航が崩れたのは22km付近。だが原因は脚ではない。内臓だ。21km地点で心臓・脇腹に激痛が走り、ペースを維持する以前の問題になった。ペース計画自体は脚的には妥当だった可能性が高い。「4:15/kmで42kmを走る脚」は、おそらく今回持っていた。それを使い切れなかった。

仮説3:サブ3:05は確実——❌ 外れ

3:18:44。サブ3:05を14分オーバー。「確実にいける」と書いた予測は外れた。

ただし、走り終えた後の身体の状態がすべてを語っている。足の痛みはない。内側広筋の張りもない。疲弊しているのは内臓だけだ。脚のポテンシャルとしてはサブ3:05圏内にあった——そう考えている。しかし、「脚が持てば走れる」はフルマラソンの半分でしかない。補給を含めた全身のマネジメントで42.195kmを走り切って、初めてタイムになる。「できていたはず」は結果論だ。

💀 Breakdown:胃が42kmを拒否した——補給崩壊の全記録

STEP
7km——1回目のMaurten、胃に残る異変

計画では7km/14km/21km/28km/35kmの5回補給。7km地点で最初のMaurtenジェルを投入した。飲んだ直後から、胃に「残る」感覚があった。練習では感じなかった重さだ。

STEP
14km——2回目、胃が受け付けない

7km後、2回目のジェルを取ろうとした時点で、胃にまだ1回目が残っている。「量が多い」と感じるほどの残留感。それでも補給しなければ後半もたない——そう判断して飲んだ。これが分岐点だったかもしれない。

STEP
16km〜21km——気持ち悪さから内臓崩壊へ

16km頃から明確な気持ち悪さが始まった。そして21-22km地点——心臓の周辺、内臓、脇腹に激痛が走った。ここが実質的な崩壊起点だ。以降のジェルは飲めなかった。30km地点で投入するはずだったカフェイン入りMaurtenも、使わずにレースを終えた。

STEP
補給計画の崩壊——予定5回、実行2回未満

事前記事で「すべてのフレーバーを事前にトレーニングで試し、胃腸への負担ゼロを確認済み」と書いた。嘘ではない。だが、テストはEペースの短い距離で行っていた。MPペースで走りながらの補給テストは十分にやっていなかった。

タイミング予定実際
7kmMaurten(通常)摂取 → 胃に残留感
14kmMaurten(通常)摂取 → 胃が拒否反応
21kmMaurten(通常)❌ 摂取不能(内臓崩壊)
28kmMaurten(カフェイン)❌ 摂取不能
35kmMaurten(通常)❌ 摂取不能

高強度走行中は内臓への血流が制限される。同じジェルでも、Eペースで飲むのとMPペースで飲むのでは、胃にかかる負荷が全く異なる。この変数を見落としていた。補給の「味」と「成分」は検証済みだったが、「強度」という条件を揃えていなかった。実験の設計ミスだ。

🏃 Lap Analysis:ペース・パワー・ピッチの崩壊プロセス

スクロールできます
区間ペース心拍パワーピッチ歩幅接地時間
1-5km4:16169bpm317W187spm1.24m216ms
6-10km4:12185bpm312W187spm1.28m215ms
11-15km4:15183bpm316W186spm1.26m216ms
16-20km4:18182bpm305W185spm1.25m219ms
21-25km4:28180bpm303W185spm1.21m223ms
26-30km5:02180bpm272W182spm1.11m234ms
31-35km5:27176bpm239W173spm1.05m243ms
36-42km5:35177bpm247W172spm1.05m238ms

パワーの推移が、崩壊のプロセスを最も正確に描写している。1-10kmで平均315W——これは2月21日の30km MP走(315W)と同等の出力だ。計画通りの巡航。ところが21-25kmで303Wに低下し始め、26-30kmで272W、31-35kmで239Wまで急落する。

ピッチも連動している。前半は187spmで安定していたが、26km以降で182→173→172と崩れた。歩幅は1.28mから1.05mへ、接地時間は215msから243msへ。フォーム全体が「省エネモード」に切り替わった証拠だ。

32km付近では約1kmほど歩いた。心臓の痛み、内臓の痛み、気持ち悪さ——全身が「止まれ」と叫んでいた。Lap34のピッチ162spm、接地時間245msが、歩行に近い動作だったことを裏付けている。

だが、ラスト2km。Lap42で4:50/kmにペースが戻った。ゴールが見えた。根性と気合で絞り出したスパートだ。気持ち悪さはずっとある。心臓も脇腹もまだ痛い。それでも、42km走ってきた実験を投げ出すわけにはいかなかった。

心拍データについて補足する。レース全体の平均心拍は179bpm——LTHR(179bpm)と完全に一致する数値だが、体感とは乖離があった。2月の30km MP走で4:15/kmを維持した際の平均心拍は167bpm。同じペース帯でここまで心拍が跳ね上がるのは不自然であり、Garminの手首式センサーの経年劣化(ドリフト)が疑われる。走行中も「180台後半は体感と合わない」と認識していた。ただし相対的な変化の傾向は参考になるため、絶対値ではなく推移として分析に使用している。

🔬 Analysis:「力不足」の正体を分解する

🗺️ 要点
  • MP走の量的不足——30km×1回の成功で42kmを保証できない
  • 補給テストの「強度条件」を揃えていなかった——Eペースでの検証≠MPペースでの検証
  • 「使える力」への変換が未完——VO2max 61の理論値2:50と3:18:44の差は約29分

脚は持った。内臓が持たなかった。これが3:18:44の要約だ。

1つ目は、MP走の量的不足。 30km MP走を1回成功させた。心拍167bpm、パワー315W、内側広筋の張りゼロ。完璧なデータだった。だが、30kmの成功は42kmの保証にならない。残り12.195kmが持つ不確実性を、もっと多くのMP走で身体に染み込ませておくべきだった。

2つ目は、補給テストの条件設計。 「味」「成分」「胃腸への負担」はすべてEペースでテスト済みだった。だが「強度」という条件を揃えていなかった。MPペースで走行中の内臓は、Eペース時とは全く異なる血流分配の下にある。同じジェルが、強度が変わるだけで凶器になり得る。

3つ目は、「使える力」への変換。 VO2max 61。理論上のフルマラソン予測タイムは2:50〜2:55。3:18:44との差は約29分。このギャップは確実に縮まりつつある——3:34:12から15分28秒削った。だが、まだ大きい。

💭 Reflection:PB15分28秒更新が証明したこと

今シーズン、フルマラソンを3回走った。横浜マラソン。湘南国際マラソン。板橋Cityマラソン。すべてでPBを更新した。3:34:12から3:18:44へ、着実にタイムを削っている。やっていることの方向性は間違っていない。

悔しさはある。「サブ3:05は確実にいける」と書いたのだから。だが、それ以上に学びが大きい。前回のレースでは「脚が止まった」。今回は「胃が壊れた」。課題が移動した。一つの問題を克服したら、次の問題が見えた。これが実験だ。

事前記事で「未達でも実験結果」と宣言していた。その通りに受け止められている。PB15分28秒更新。脚は持った。内側広筋ゼロ。Hyper Warp Pureは正解だった。補給の問題さえなければ、サブ3:05は現実的だった。その確信を持てたこと——これがこのレースの最大の収穫だ。フルマラソンを始めてまだ1シーズン目。3レースで45分以上削った。まだまだ伸びしろしかない。

🎯 Next:サブ3に向けた次の実験計画

  1. MP走の頻度と距離を上げる。 4:15/kmで走り続ける耐性を、30kmだけでなく35km、可能なら38kmまで検証する。
  2. 補給戦略をMPペースでテストする。 MP走の中でジェルを摂取し、胃の反応をデータとして蓄積する。
  3. 走力の土台を引き続き積む。 週110kmのベースは維持しつつ、LT走とインターバルの質を上げる。サブ3プロジェクトは第2フェーズへ移行する。

次のフルマラソンで、この3つの実験結果を持ち込む。「脚も胃も42kmを走り切る」——それが次の仮説だ。

❓ FAQ

板橋Cityマラソン2026のコンディションは?

天候良好、走りやすい気温。板橋としては相当良いコンディションだった。コンディションを言い訳にはできない。

Hyper Warp Pureはフルマラソンに適したシューズか?

ドロップ3mm、ロッカーなし、139g。自分のリズムで走れる感覚を42km維持。内側広筋の張りゼロ。自分でペースをコントロールしたいランナーに適している。

補給でジェルが胃に合わなかった場合の対策は?

MPペースでの補給テスト不足が原因。まずはMP走中にジェルを試す。少量・高頻度の補給や液体タイプへの変更も検討。

PBを15分以上更新できた要因は?

内側広筋の問題解消が最大要因。シューズ変更、中殿筋強化、ピッチ走法の意識が脚の耐久性を向上。走力自体も底上げ(5km PB 19:24、ハーフPB 1:27:09)。

サブ3達成に向けて次のレースの予定は?

秋冬シーズンのフルマラソンで、MP走の質向上と補給戦略検証の結果を持ち込む予定。

📝 Conclusion

レース前夜に書いた仮説書に、42.195kmが回答を返した。

仮説の半分は正しかった。Hyper Warp Pureで内側広筋は消えた。脚は42kmを走り切れた。しかし、想定外の変数——補給による内臓崩壊——が16km地点から静かに牙を剥き、21kmで決壊した。サブ3どころかサブ3:05にも届かなかった。

3:18:44。PB15分28秒更新。前回は脚が壊れた。今回は胃が壊れた。課題が移動した。一つの問題を潰したら、次の問題が見えた。これが、実験で走るということだ。

次のフルマラソンでは、「脚も胃も42kmを走り切る」実験を行う。仮説はもう立っている。

📎 Appendix:全ラップデータ

Garmin計測42.38km/3:19:07。公式記録42.195km/3:18:44。以下はGarminのラップデータ(22列)を全掲載。

スクロールできます
ラップタイム累積距離(km)ペースGAP心拍心拍max上昇(m)下降(m)パワー(W)W/kgパワーmax最大W/kgピッチ接地(ms)GCT歩幅(m)上下動(cm)上下動比(%)最高ペース最高ピッチ
14:25.84:25.81.004:264:28155169003085.363646.331862211.208.67.23:53190
24:12.08:37.71.004:124:13166168003135.443225.601872151.278.86.94:09190
34:12.512:501.004:124:12168173013165.503305.741872141.278.86.94:05190
44:13.017:031.004:134:14173184003205.573315.761872161.268.87.04:08190
54:16.321:201.004:164:13182187903275.694237.361872161.248.77.04:01194
64:10.525:301.004:114:07183187103175.513546.161872121.298.86.84:01190
74:11.729:421.004:124:15184191083025.253315.761872151.278.86.93:59192
84:12.833:541.004:134:12186193003155.483325.771872141.278.86.94:04196
94:11.738:061.004:124:12188191213115.413546.161862151.278.87.04:06190
104:12.342:191.004:124:11182187003175.513636.311872141.288.96.93:56191
114:15.046:331.004:154:13185188203255.653546.161872151.268.76.94:00194
124:13.450:471.004:134:14183187113275.693576.211862161.268.87.04:02190
134:19.455:061.004:194:20180185003165.503506.091862181.248.87.14:04192
144:16.559:231.004:174:15184192003095.373265.671862161.268.87.04:10190
154:15.61:03:381.004:164:17183190123035.273305.741862171.258.87.04:08192
164:17.41:07:561.004:174:16179184433105.393806.611852181.268.97.14:09189
174:17.71:12:141.004:184:18184192023045.293295.721852191.268.97.14:10188
184:19.21:16:331.004:194:19180188003025.253195.551852191.258.97.14:15188
194:18.21:20:511.004:184:19183187003035.273115.411862181.258.87.14:14188
204:19.91:25:111.004:204:19184188003045.293155.481852191.248.97.14:14192
214:19.01:29:301.004:194:22181184002975.173065.321862191.238.87.14:15188
224:19.51:33:491.004:194:16181183103255.653696.421852181.268.97.14:02188
234:28.61:38:181.004:294:30181186003055.303155.481852241.208.87.34:23188
244:32.91:42:511.004:334:33183186003005.223085.361852241.198.77.34:28189
254:41.71:47:331.004:424:41176185002905.043025.251842281.158.67.54:33186
264:53.91:52:261.004:544:53181185212814.893155.481822331.128.67.74:42188
274:52.31:57:191.004:524:55176187002804.873085.361832331.118.57.74:32189
285:09.42:02:281.005:095:08179187552744.773606.261812391.078.68.04:43187
295:08.92:07:371.005:095:08180183002654.612834.921812381.078.57.94:55184
305:07.02:12:441.005:075:08182188002594.502854.961832371.068.47.94:56186
314:54.82:17:391.004:554:54178186222684.662985.181822331.128.67.74:34188
325:33.62:23:131.005:345:31178185012304.002674.641702421.038.38.14:59184
335:26.12:28:391.005:265:25172184002404.173085.361712501.058.48.14:21194
345:43.32:34:221.005:435:37173184002283.973015.231622451.018.18.14:47188
355:35.52:39:571.005:355:29179186222293.983305.741582431.068.47.94:41189
365:46.12:45:431.005:465:35183190802364.103686.401642501.038.18.04:48231
375:28.52:51:121.005:295:22173179102474.303005.221692381.048.27.94:36188
385:12.92:56:251.005:135:10178183132484.312995.201722341.088.47.84:49186
395:05.13:01:301.005:055:08178188052524.382744.771822351.078.47.84:46188
405:12.93:06:431.005:135:12180187002544.422744.771802401.068.48.04:54186
415:46.23:12:291.005:465:37169179002203.832864.971592431.028.38.14:47186
424:49.83:17:191.004:504:53179184002694.683005.221852301.108.47.64:20190
431:47.73:19:070.384:474:36183187002824.903816.631812241.178.47.43:33193
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

RuncersLAB運営。フルマラソンでの目標達成に向けて、論理的かつ科学的なアプローチでトレーニングに励む市民ランナー。 現在は「週110km」の走行をベースに、Vo2MAX61を基準とした独自のメニューを追求中。自身の体験とデータに基づき、42.195kmを「使い切る」ための戦略やギアレビューを発信しています。

コメント

コメントする

目次