VO2max 61の理論値 vs フルマラソン3:34:12の実力:なぜ「使える力」と「持っている力」に差が生まれるのか【データ分析】

この記事の結論:理論値と実力の差

VO2max 61という数値は、理論上サブ3(3時間切り)を達成できる能力を示している。しかし、私のフルマラソン記録は3:34:12(5:05/km)だ。この36分12秒の差は、単なる「練習不足」や「経験不足」では説明できない。データを徹底分析した結果、「持っている力」と「使える力」の間に明確なギャップが存在することが判明した。その要因は、ペース配分でもメンタルでもなく、脚筋力の不足である。

33歳、VO2max 61、LTHR 179bpm、LT Pace 3:57/km。これらの数値を見れば、誰もが「サブ3は可能」と判断するだろう。実際、10kmでは39:25(3:57/km)で走れる。ハーフマラソンでは1:32:06(4:22/km)を記録している。しかし、フルマラソンでは5:05/kmまでペースが落ちる。この差は何を意味するのか。データと感覚を統合して検証する。

目次

📊 各距離のPB比較:距離が長くなるほどペースが落ちる

距離タイムペース理論値(VO2max 61)実力との差
5km19:393:56/km約3:50/km+6秒/km
10km39:253:57/km約3:55/km+2秒/km
ハーフ1:32:064:22/km約1:28:00+4分06秒
フル3:34:125:05/km約2:58:00+36分12秒

この表が示すのは、距離が長くなるほど理論値との差が拡大するという事実だ。5kmでは+6秒/km、10kmでは+2秒/kmと、ほぼ理論値に近い。しかし、ハーフでは+4分06秒、フルでは+36分12秒と、差は指数関数的に拡大する。これは筋持久力の不足を示している。

🏃 Analysis:ペース配分の実態

2024年12月、湘南国際マラソンで記録した3:34:12のラップデータを分析する。このレースは、サブ3.5を目標に設定していた。前半は4分半ペースで進む計画だった。

スタートはBエリアからの出発だった。人混みの中、1km目は5:08/km。これは最大限頑張って進んでもこのペースだった。4分半で進めるようになれば、このペースでも全然いけると判断した。

距離ラップタイムペース累計タイム備考
5km23:204:40/km23:20スタート遅延あり
10km22:254:29/km45:45計画通り
15km22:234:29/km1:08:08安定
20km22:364:32/km1:30:44微増
21km(ハーフ地点)4:384:38/km1:35:22前半平均4:32/km
25km19:124:48/km1:54:34ペース低下開始
30km25:525:10/km2:20:26内側広筋の張り
32km11:305:45/km2:31:56痛みに変化
35km18:066:02/km2:50:02止まっては走って
40km30:416:08/km3:20:43最大の失速
42.195km13:276:10/km3:34:12完走

前半(0-21km)の平均ペースは4:32/km。計画通りだった。21km地点でも特に辛い感覚はなかった。まだまだいけると思っていた。

しかし、30km地点よりも少し前から、内側広筋の張りをむちゃくちゃ感じていた。足が動かないという感じになった。全く走れないわけではないが、極度の筋肉の張りを感じていた。ペースは1分以上遅くなっていた。このままではサブ3.2が確実に無理だし、サブ3.5もちょっといけるか微妙だなという感覚だった。

32km地点では、内側広筋の張りが痛みに変わっていた。関節痛とは違う。少し休めばすぐに回復する。止まっては走って、止まっては走ってを繰り返していた。

💓 Analysis:心拍ドリフトの検証

興味深いのは、心拍数の推移だ。フルマラソン全体の平均心拍は164bpm。私のLTHR(乳酸閾値心拍数)は179bpmだ。つまり、平均心拍はLTHRより15bpmも低い。理論上は「余裕がある」はずだ。

距離平均心拍最大心拍ペース備考
0-10km165bpm174bpm4:28/km有酸素域
10-20km172bpm187bpm4:31/km微増
20-30km173bpm181bpm4:47/kmペース低下開始
30-40km156bpm165bpm6:05/km心拍低下
40-42km152bpm165bpm6:29/km最大失速

30km以降、ペースが6分/km台に落ちたにもかかわらず、心拍数は156bpmまで低下している。これは心拍が低いから余裕があるのではなく、単純に筋肉の張りがあったから失速しただけだ。心拍とは関係ない。

足が動かなくて、足の張りを感じていて、なかなか前に踏み出せないという感覚だった。心拍数に関してもだいぶ低く保ててはいたけど、足が動かなかった。

📉 Analysis:30kmの壁の実態

30km以降のペース低下を詳細に分析する。

距離ラップタイムペース累計タイム心拍
30km5:255:25/km2:20:26166bpm
31km5:265:26/km2:25:52164bpm
32km6:046:04/km2:31:56158bpm
33km6:016:01/km2:37:57155bpm
34km5:565:56/km2:43:53154bpm
35km6:096:09/km2:50:02153bpm
36km5:475:47/km2:55:49156bpm
37km5:445:44/km3:01:32154bpm
38km5:545:54/km3:07:27154bpm
39km6:376:37/km3:14:04152bpm
40km6:396:39/km3:20:43146bpm
41km6:296:29/km3:27:12150bpm
42km5:535:53/km3:33:05152bpm

0-30kmの平均ペースは4:40/km。30-42kmの平均ペースは6:05/km。ペース低下率は29.5%だ。これは異常な数値だ。通常、適切なペース配分であれば、後半のペース低下は5-10%程度に収まる。

32km地点で6:04/kmまで落ちたのは、内側広筋の張りが痛みに変わった瞬間だ。止まっては走ってを繰り返していた。心拍は158bpmと低い。しかし、足は動かない。

💪 Insight:脚筋力不足が生む「使えない力」

ハーフマラソンは4:22/kmで走れる。フルマラソンは5:05/km。この差は43秒/kmだ。ハーフとフルマラソンは全く別の競技だと思っている。この差は、スピードを持続する筋力が足りていないということを示している。

10kmは3:57/km(LT Pace)で走れる。フルマラソンは5:05/km。この差は68秒/kmだ。10kmとフルはそもそも種目が違う。10kmが3:57/kmで走れるからといって、フルマラソンでそのまま行くわけではない。これは確実に筋持久力不足だという判断に至っている。

この結果をもって、サブ3プロジェクトを発足している。この悔しさを板橋シティマラソンや来年の湘南国際マラソンで活かしきるために、どうしたらいいかという課題を分析していった結果、筋持久力の向上が必要だというふうに考えて、今のプロジェクトを組んでいる。

筋持久力がそもそも足りないということが、このレースで明確に分かった。

🎯 Strategy:サブ3達成に向けた改善ポイント

VO2max 61があるのにサブ3.5あたりになっている。最も改善すべき点は、脚筋力だ。

  • 筋持久力を上げるための筋トレ
  • LTペースの量を増やしていく
  • 中殿筋の強化(内側広筋の張りは中殿筋の筋肉不足が根本原因)
  • 膝のアライメント改善(アライメント不良を感じている)

内側広筋の張りが出るのは、中殿筋の筋肉が足りないというところが根本原因だったり、膝のアライメントが不良を感じているという形になる。そこの改善を行うために、筋持久力のアップというところを課題として考えていて、今も同じようにその対策をしている。

次回のレース戦略は、筋持久力によると思うので、同じ条件で走ったとしても全く同じペースは今の方が早く走れる。12月から今の現時点(1月)でかなり成長しているかなというふうに思っている。ペース配分に関しては、前回よりももちろん早いペースで走ろうかなというふうに思う。

ただ、内側広筋の張りが出ないように意識しながら姿勢を保って、なるべくロスのないフォームで、ペース配分を今よりも速いサブ3ペースで走るというような戦略を取るかなとは思っている。

📋 Appendix:全ラップデータ表

フルマラソン(3:34:12)の全ラップデータを以下に示す。

スクロールできます
ラップ距離ラップタイムペース累計タイム平均心拍最大心拍
11.00km5:085:08/km5:08137bpm148bpm
21.00km4:364:36/km9:44157bpm162bpm
31.00km4:414:41/km14:24160bpm166bpm
41.00km4:294:29/km18:53159bpm166bpm
51.00km4:274:27/km23:20170bpm174bpm
61.00km4:284:28/km27:48167bpm170bpm
71.00km4:314:31/km32:19168bpm171bpm
81.00km4:284:28/km36:47168bpm171bpm
91.00km4:304:30/km41:17168bpm170bpm
101.00km4:284:28/km45:45171bpm174bpm
111.00km4:234:23/km50:08174bpm178bpm
121.00km4:284:28/km54:37171bpm175bpm
131.00km4:294:29/km59:06171bpm174bpm
141.00km4:314:31/km1:03:37170bpm172bpm
151.00km4:314:31/km1:08:08172bpm182bpm
161.00km4:314:31/km1:12:39174bpm186bpm
171.00km4:304:30/km1:17:09180bpm187bpm
181.00km4:324:32/km1:21:41176bpm180bpm
191.00km4:314:31/km1:26:12178bpm180bpm
201.00km4:324:32/km1:30:44177bpm180bpm
211.00km4:384:38/km1:35:22177bpm180bpm
221.00km4:364:36/km1:39:58176bpm180bpm
231.00km4:474:47/km1:44:45175bpm178bpm
241.00km4:534:53/km1:49:38176bpm181bpm
251.00km4:564:56/km1:54:34173bpm178bpm
261.00km5:065:06/km1:59:40173bpm176bpm
271.00km4:594:59/km2:04:39173bpm180bpm
281.00km5:095:09/km2:09:48167bpm177bpm
291.00km5:135:13/km2:15:01167bpm172bpm
301.00km5:255:25/km2:20:26166bpm168bpm
311.00km5:265:26/km2:25:52164bpm168bpm
321.00km6:046:04/km2:31:56158bpm163bpm
331.00km6:016:01/km2:37:57155bpm160bpm
341.00km5:565:56/km2:43:53154bpm160bpm
351.00km6:096:09/km2:50:02153bpm165bpm
361.00km5:475:47/km2:55:49156bpm162bpm
371.00km5:445:44/km3:01:32154bpm158bpm
381.00km5:545:54/km3:07:27154bpm161bpm
391.00km6:376:37/km3:14:04152bpm161bpm
401.00km6:396:39/km3:20:43146bpm154bpm
411.00km6:296:29/km3:27:12150bpm160bpm
421.00km5:535:53/km3:33:05152bpm160bpm
430.36km2:055:49/km3:35:10161bpm165bpm

❓ FAQ

VO2max 61なのにサブ3を達成できないのはなぜですか?

VO2maxは「持っている力」を示す指標だが、フルマラソンでは「使える力」が重要だ。私の場合は、脚筋力(筋持久力)の不足により、30km以降に内側広筋の張りが発生し、ペースが大幅に低下した。心拍数は低いまま(平均164bpm、LTHR 179bpmより低い)だったが、筋肉が動かなくなった。つまり、心肺機能は十分だが、筋持久力が不足している状態だ。

心拍数が低いのに失速するのはなぜですか?

心拍数が低いから余裕があるのではなく、単純に筋肉の張りがあったから失速しただけだ。心拍とは関係ない。30km以降、平均心拍は156bpmまで低下したが、ペースは6分/km台に落ちた。これは「心肺機能は余裕があるが、筋肉が動かない」状態を示している。

サブ3達成に向けて最も重要な改善点は何ですか?

脚筋力(筋持久力)の向上が最重要だ。具体的には、①筋持久力を上げるための筋トレ、②LTペースの量を増やす、③中殿筋の強化(内側広筋の張りの根本原因)、④膝のアライメント改善が必要だ。VO2maxは既に61と高いため、筋持久力を向上させることで、理論値を実力に変換できる。

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この記事を書いた人

RuncersLAB運営。フルマラソンでの目標達成に向けて、論理的かつ科学的なアプローチでトレーニングに励む市民ランナー。 現在は「週110km」の走行をベースに、Vo2MAX61を基準とした独自のメニューを追求中。自身の体験とデータに基づき、42.195kmを「使い切る」ための戦略やギアレビューを発信しています。

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