- Garminデフォルトの「最大心拍数基準」ではなく「LTHR基準」でゾーン設定した方が合理的だと考えている
- 最大心拍数193bpmとLTHR 176bpmでは、Z2上限が135bpm vs 156bpm——21bpmもの差が生まれる
- 私は「少しきつい=高強度」という感覚ではなく、ゾーン2以下が低強度、3以上が高強度という線引きで管理している
🎯 Introduction:Garminデフォルト設定の落とし穴
心拍数でトレーニングを管理しているランナーは多い。Garminを使っていれば、自動的に心拍ゾーンが設定される。
だが、ここに見落としがちなポイントがある。
Garminのデフォルト設定は「最大心拍数」を基準にしている。多くのランナーがこの設定のまま使っているが、私は2024年11月にLTHR(乳酸閾値心拍数)基準に切り替えた。
きっかけは、トレーニング理論を調べていく中で「心拍ゾーンの設定方法には複数の考え方がある」と知ったことだ。最大心拍数基準、LTHR基準、心拍予備能(HRR)基準——どれを採用するかで、ゾーンの範囲は大きく変わる。
色々と検証した結果、私はLTHR基準が最も合理的という結論に至った。その理由を、実体験とデータを交えて解説していく。
📊 Data:最大心拍数 vs LTHR——ゾーン設定の比較
まず、私のデータで「最大心拍数基準」と「LTHR基準」のゾーンがどれだけ違うかを見てほしい。
私の心拍データ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 最大心拍数 | 193bpm(実測) |
| LTHR(乳酸閾値心拍数) | 176bpm |
| 安静時心拍数 | 約45bpm |
ゾーン設定の比較表
| ゾーン | 最大心拍数193bpm基準 (Garminデフォルト) | LTHR 176bpm基準 (Joe Friel方式) | 差 |
|---|---|---|---|
| Z1(リカバリー) | 97-116bpm (50-60%) | ~142bpm (~81%) | 上限+26bpm |
| Z2(有酸素/Eペース) | 116-135bpm (60-70%) | 143-156bpm (81-89%) | 上限+21bpm |
| Z3(テンポ) | 135-154bpm (70-80%) | 158-164bpm (90-93%) | 上限+10bpm |
| Z4(閾値) | 154-174bpm (80-90%) | 165-174bpm (94-99%) | ほぼ同等 |
| Z5(VO2max) | 174-193bpm (90-100%) | 175bpm~ (100%~) | ほぼ同等 |
注目すべきはZ2(Eペース領域)の上限だ。
最大心拍数基準では135bpmがZ2の上限。一方、LTHR基準では156bpmまで許容される。その差、21bpm。
この21bpmの差が、私にとっては週110kmを「無理なく」走れるかどうかの分水嶺になっている。
💡 Insight:Z2の幅が広がることの実用的メリット
LTHR基準に切り替えて最も実感したのは、「Eペースで出せるスピードの幅が変わる」ということだ。
Eペースには2種類ある
私はEペース走を2つに分けて考えている。
| 種類 | 目的 | 心拍目安 | ペース感覚 |
|---|---|---|---|
| リカバリー寄りEペース | 疲労回復、血流促進 | Z2下限(143-148bpm) | かなり余裕がある |
| 出力維持のEペース | 有酸素能力の維持・向上 | Z2上限付近(150-156bpm) | 適度な負荷 |
最大心拍数基準では、Z2の上限が135bpm。これだとリカバリー寄りのペースしか許容されず、「出力維持のEペース」という選択肢がなくなってしまう。
LTHR基準にすることで、Z2の幅が143-156bpmに広がり、その日のコンディションや目的に応じてEペースを使い分けられるようになった。
週110km達成における実用性
サブ3プロジェクトでは週110kmを目標にしている。だが、私には「1回のトレーニング時間は90分以内」という制約がある(リモートワークとはいえ、平日に確保できる時間には限界がある)。
90分で走れる距離は、ペースによって大きく変わる。
| ペース | 90分で走れる距離 |
|---|---|
| 6:00/km | 15.0km |
| 5:30/km | 16.4km |
| 5:00/km | 18.0km |
| 4:45/km | 18.9km |
最大心拍数基準でZ2上限135bpmに収めようとすると、私の場合ペースは5:30-6:00/km程度になる。90分で走れるのは15-16km。
一方、LTHR基準でZ2上限156bpmまで許容すると、5:00/km前後で走れる。90分で18km。
1回あたり2-3kmの差は、週単位で見ると10-15kmの差になる。週110kmという目標を「無理なく」達成するには、この差が効いてくる。
⚠️ Reality:LTHR基準の課題——冬場の心拍問題
LTHR基準が万能かというと、そうでもない。実際に運用してみて気づいた課題がある。
冬場は心拍が上がりにくい。
LTHR 176bpmの場合、Z2の上限は156bpm。しかし、気温が低い冬場では、かなりペースを上げても心拍が154-155bpm付近で頭打ちになることがある。
結果として、「体感的にはかなり速いのに、心拍上はZ2に収まっている」という状況が発生する。これが本当にEペースと呼べるのか?という疑問は正直ある。
ただ、私のスタンスは明確だ。データを信じる。心拍がZ2内なら、体感が「速い」と感じてもZ2として扱う。感覚は季節や気温、その日のコンディションで簡単にブレる。だからこそ、客観的な数値で管理する意味があると考えている。
🎯 Core Message:私が感覚よりゾーンを信じる理由
ここで、この記事で最も伝えたいことを書いておきたい。
練習強度は「感覚」ではなく「ゾーン」で管理した方がいいと私は考えている。
「少しきついから高強度」「楽だから低強度」という感覚的な判断は、私の場合うまくいかなかった。
だから今は、ゾーン2以下 = 低強度。ゾーン3以上 = 高強度。というシンプルな線引きで管理している。
よくインフルエンサーが「Eペースは会話ができるペース」と言っている。だが、正直に言えば、その定義は私には合わなかった。
なぜか?人によって感覚が違うからだ。
ある人にとって「会話ができる」ペースが5:00/kmかもしれないし、別の人にとっては5:30/kmかもしれない。同じ人でも、調子が良い日と悪い日で感覚は変わる。
感覚はブレる。データはブレない。
だから私は、厳格なゾーン管理による練習の質の担保をサブ3プロジェクトの基本方針にしている。その日の設定ゾーン内で心拍を管理する。シンプルだが、これが私にとっては一番確実だった。
⚙️ How To:Garminで心拍アラートを設定する方法
ゾーン管理を徹底するために、私はGarminの心拍アラート機能を活用している。設定した心拍数を超えたら通知が来るので、リアルタイムでペースを調整できる。
設定方法を紹介する。
ウォッチ本体での設定手順
Garmin Connectアプリでの設定
スマートフォンからも設定できる。
私の場合、練習内容に応じて毎回アラート設定を変えている。リカバリー日なら上限142bpm、Eペース走なら上限156bpm、といった具合だ。
📈 Method:LTHRの確認とゾーン設定方法
自分のLTHRを基準にしたゾーン設定の方法を解説する。
LTHRの確認方法
LTHRを知るには、Garminの標準機能を使うのが最も手軽だ。
Garminは日々のトレーニングデータから乳酸閾値を自動で推定してくれる。私の場合、Garmin Connectアプリの「パフォーマンス統計」→「乳酸閾値」で確認できる。特別なテストをしなくても、普段のトレーニングを続けていれば精度の高い値が算出される。
私のLTHRは176bpm。この値を基準にゾーンを設定している。
Joe Friel方式のゾーン計算
LTHRが判明したら、以下の比率で各ゾーンを計算できる。
| ゾーン | LTHR比率 | 計算例(LTHR 176bpm) |
|---|---|---|
| Z1 | ~81% | ~142bpm |
| Z2 | 81-89% | 143-156bpm |
| Z3 | 90-93% | 158-164bpm |
| Z4 | 94-99% | 165-174bpm |
| Z5 | 100%~ | 175bpm~ |
❓ FAQ
- Garminの設定をLTHR基準に変更する方法は?
-
Garmin Connectアプリで[デバイス設定] → [ユーザー設定] → [心拍ゾーン]を開き、[乳酸閾値心拍数に基づく]を選択する。または、各ゾーンの上限・下限を手動で入力することも可能だ。Joe Friel方式の比率で計算した値を直接入力するのが確実。
- 最大心拍数基準のままでも問題ない?
-
走ること自体に問題はない。ただし、Z2の上限が低く設定されるため、Eペース走で出せるスピードの幅が狭くなる。週間走行距離を増やしたい場合や、時間制限がある中で距離を稼ぎたい場合には、LTHR基準を検討してみる価値はある。
- LTHRは変化する?定期的な確認は必要?
-
LTHRはトレーニングによって向上し、休養不足で低下する。Garminの自動推定機能を使えば、日々のトレーニングから最新の値が算出されるので、定期的にチェックしておくと良い。
📝 まとめ:合理的なゾーン管理で「外さない」トレーニングへ
Garminをデフォルト設定のまま使っているランナーは多いと思う。だが、その設定が「最適」かどうかは、一度立ち止まって考えてみる価値がある。
私がLTHR基準に切り替えた理由は単純だ。最も合理的だと判断したから。
最大心拍数基準ではZ2の上限が低すぎて、週110kmという目標を「無理なく」達成することが難しかった。LTHR基準にすることで、Z2の幅が広がり、90分という時間制限の中でも距離を稼げるようになった。
そして、私にとって重要なのは「感覚に頼らない」ということだ。
「少しきついから今日は抑えよう」「楽だからもう少し上げよう」——こういう感覚的な判断は、私の場合トレーニングの質を下げてしまった。人によって感覚は違う。同じ人でも日によって違う。
だから今は、ゾーン2以下が低強度、ゾーン3以上が高強度という合理的な線引きを設けて、それを守るようにしている。それがサブ3プロジェクトの基本方針だ。
データはどの角度から見ても1つ。嘘をつかない。
📚 Appendix:LTHR別 心拍ゾーン早見表
以下は、異なるLTHR値に対応した心拍ゾーン早見表だ。自分のLTHRに近い行を参考にしてほしい。
| LTHR | Z1(~81%) | Z2(81-89%) | Z3(90-93%) | Z4(94-99%) | Z5(100%~) |
|---|---|---|---|---|---|
| 160bpm | ~129 | 130-142 | 144-149 | 150-158 | 159~ |
| 165bpm | ~133 | 134-147 | 149-153 | 155-163 | 164~ |
| 170bpm | ~137 | 138-151 | 153-158 | 160-168 | 169~ |
| 175bpm | ~141 | 142-156 | 158-163 | 165-173 | 174~ |
| 176bpm(私) | ~142 | 143-156 | 158-164 | 165-174 | 175~ |
| 180bpm | ~145 | 146-160 | 162-167 | 169-178 | 179~ |
| 185bpm | ~149 | 150-165 | 167-172 | 174-183 | 184~ |
※小数点以下は四捨五入

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